TAKAO 599 MUSEUM

高尾山の宝物たち

展示されている動植物

四季折々の美しい草花を閉じ込めたアクリル封入展示や、多種多様な昆虫を一同に並べた巨大標本展示。さらには、動物剥製を壁面に配し、ムービーとともに高尾山の魅力をダイナミックに魅せる「NATURE WALL」など、TAKAO599MUSEUMには、豊かな環境の中で生活を営む生物たちにいつでも出会える、工夫を凝らした展示を常設しています。

  • コスミレ スミレ科
    コスミレ
    コスミレ スミレ科
    低い山の明るい林の下、道端や土手など、人里近くでも咲いている多年草(複数年のあいだ育成する植物)。春早く咲くスミレのひとつで、高尾山では南向きの斜面など、日当たりのよいところで見ることができる。名前のイメージとは違って、特別に小さいスミレということではなく、花の直径も約2センチはある。花びらには紫色の筋が入り、主に淡い紫色をしているが、白い花もあって変化に富んでいる。葉は長さ約2~5センチで、長めの三角形か、あるいは卵形。先がややとがり、裏側は紫色をおびていることが多い。葉の数が多く、根もとから立ちあがるように開いている。アカネスミレとよく似ているが、毛のないところが見分けるときのポイントである。

    季節|3月下旬~4月中旬頃
    高さ|約5~10センチ
    場所|6号路、裏高尾
  • コミヤマスミレ スミレ科
    コミヤマスミレ
    コミヤマスミレ スミレ科
    沢沿いの暗く湿ったところに見られる多年草(複数年のあいだ育成する植物)で、高尾山ではいちばん遅い時期に咲くスミレである。大きな葉がよく目立つが、それに比べると花は小さく、直径は約1センチ。色は白く、下の花びらには紫色の筋が入っている。花の後ろについている萼(がく:花の外側にある、葉の変化した器官)は、短い毛が生え、少し反り返っている。これは他のスミレには見られない特徴で、見分けるときのポイントになる。葉の形は芽生えのころは円形だが、成長すると楕円形や卵形に変わる。長さは約2~3.5センチで、やわらかくつやがない。ふちに鋭い鋸歯(きょし:葉のふちにあるノコギリの歯のようなギザギザ)があり、裏面は紫色をおびている。花の終わりの時期が近づくと、閉鎖花(へいさか:開花せずに受粉を行なう花)を盛んにつける。

    季節|4月下旬~5月中旬頃
    高さ|約5~8センチ
    場所|4号路、6号路、裏高尾
  • スミレ スミレ科
    スミレ
    スミレ スミレ科
    日当たりのよい草地や道端などで普通に咲いている多年草(複数年のあいだ育成する植物)。高尾山では少なくなったが、人家周辺で見ることができる。横から見た花の形が、大工道具の「墨入れ」に似ていることから、その名が付けられたとされている。地下にある太い茎から、葉や花の茎が束になって、ほぼ垂直にのびている。葉の形は細長い靴べらのようで、先が丸く、長さは約3~8センチある。やや厚みがあり、葉の柄(え)の部分にひれがついているところが特徴である。花の直径は約1.2~1.7センチで、濃い紫色。花びらの側弁には、白い毛が生えている。距(きょ:花びらの後方にある袋状の部分) は長く約7ミリある。

    季節|4月中旬~5月上旬頃
    高さ|約7~15センチ
    場所|1号路、5号路、稲荷山、裏高尾、奥高尾
  • タカオスミレ スミレ科
    タカオスミレ
    タカオスミレ スミレ科
    「スミレの山」といわれる高尾山を代表するスミレ。沢沿いの湿り気のある半日陰の林のふちなどを好んで咲いている。高尾山で最初に発見されたことから、その名が付けられた。全国にも分布しているが、高尾山でいちばん多く見られる。昭和3(1928)年にヒカゲスミレの変種として発表され、花が咲く時期、葉の表面がこげ茶色をしているところが特徴である。ただし、花が終わると緑色の葉が出てくることでヒカゲスミレとの見分けはむずかしくなる。花の直径は約1.5~2センチで、ほのかな香りがある。色は白く、花びらには細かい紫色の筋が入っている。葉は長さ約3~6センチで、卵形かやや長い卵形をしている。

    季節|4月上旬~5月上旬頃
    高さ|約5~12センチ
    場所|1号路、蛇滝、裏高尾
  • ナガバノスミレサイシン スミレ科
    ナガバノスミレサイシン
    ナガバノスミレサイシン スミレ科
    春まだ早い時期に、沢沿いの湿った林のふちや林内などに生える多年草(複数年のあいだ育成する植物)。その名のとおり、長い葉をもつ大型のスミレである。サイシンは、葉の形がウスバサイシン(ウマノスズクサ科)に似ていることから付けられた。太平洋側に多く分布しているが、葉が短いスミレサイシンは日本海側に多い。葉は細長いハート形で、花が咲くより遅く開く。長さ約5~8センチの葉を丸めたままの状態で、花をつける。花の直径は約2~2.5センチで、主に淡い紫色をしているが、高尾山では白いものが多く見られる。花が終わると、葉はさらに大きく長さ15センチくらいになる。節のある太い地下茎(ちかけい)を長くのばしてふえていく。

    季節|3月下旬~4月中旬頃
    高さ|約5~12センチ
    場所|1~2号路、4~5号路、裏高尾、南高尾
  • ニオイタチツボスミレ スミレ科
    ニオイタチツボスミレ
    ニオイタチツボスミレ スミレ科
    日当たりのよい尾根筋や草地、林の下に生える多年草(複数年のあいだ育成する植物)。タチツボスミレに似て、ほのかによい香りがすることから「匂立坪菫(においたちつぼすみれ)」の名が付けられた。葉柄(ようへい:葉をささえる柄)のつけねにつく托葉(たくよう:葉の基部につく小さな葉)には、タチツボスミレと同じようにくしの歯のような切れ込みがある。花の直径は約1.2~1.5センチで、花びらにまるみがある。色は濃い紫色をしているが、花びらのもとの部分が白いので、中心部が白く抜けて見えるのが特徴である。距(きょ:花びらの後方にある袋状の部分)は細長く、長さ約6~7ミリ。茎や花柄(かへい:花をささえる柄)には、細かな白い毛がたくさん生えている。根生葉(こんせいよう:茎の根もと近くから生える葉)は長さ約2~3センチで、まるみのあるハート形をしている。茎につく葉は長さ約2.5~4センチで、細長くとがった三角形である。

    季節|3月下旬~4月下旬頃
    高さ|約5~15センチ
    場所|奥高尾、南高尾
  • ノジスミレ スミレ科
    ノジスミレ
    ノジスミレ スミレ科
    人家周辺の草地や道端、石垣や畑など、日当たりのよいところに普通に咲いている多年草(複数年のあいだ育成する植物)。茎や葉に白く短い毛がたくさん生えている。スミレ(スミレ科)によく似ているが、ノジスミレは花に香りがあり、葉の先がとがっていることで見分けがつく。また、スミレの葉は垂直にのびるのに対し、地面に平たく広がるところも特徴である。花の直径は約1~1.5センチで、青みがかった紫色をしており、花びらには濃い紫色の筋が入る。葉は長さ約3~8センチのへら状の長い楕円形で、裏面は紫色をおびて、葉柄(ようへい:葉をささえる柄)の上部の両側にはひれがつく。花が終わると、三角形の夏葉が出てくる。夏葉のふちは、上に巻きあがっていることが多い。

    季節|3月下旬~4月中旬頃
    高さ|約5~10センチ
    場所|6号路、裏高尾、南高尾
  • ヒカゲスミレ スミレ科
    ヒカゲスミレ
    ヒカゲスミレ スミレ科
    沢沿いの林のふちなど、湿り気のある半日陰の場所に生える多年草(複数年のあいだ育成する植物)。日陰を好んで咲いているので、その名が付けられた。地下で枝をのばしてふえていくため、群生することが多い。タカオスミレの母種といわれ、姿かたちはよく似ているが、タカオスミレが褐色の葉をつけるのに対し、緑色の葉をつけているところが見分けるときのポイントになる。葉は長さ約3~6センチの先がとがったハート形で、手触りはやわらかく、両面に細かい毛が生えている。花の直径は約1.5~2センチで、よい香りがする。色は白く、下の花びらには細かい紫色の筋が入る。横に開く花びらのもとの部分には毛が密生するが、なかには毛の無いものもある。距(きょ:花びらの後方にある袋状の部分) は太い円柱形で長さ約7~8ミリである。

    季節|4月上旬~5月上旬頃
    高さ|約5~12センチ
    場所|裏高尾、奥高尾
  • ヒメスミレ スミレ科
    ヒメスミレ
    ヒメスミレ スミレ科
    人家周辺の道端や石垣の間など、日当たりのよいところに生える多年草(複数年のあいだ育成する植物)。山中や森林の周辺では、あまり見かけることはない。その名のイメージどおり、小型のスミレのひとつで、スミレ(スミレ科)に似ているが、全体をひと回り小さくした感じ。ヒメスミレの葉柄(ようへい:葉をささえる柄)には、ひれがついていないことで見分けがつく。花の直径は約1~1.5センチ、濃い青紫色をしているので、小さいわりにはよく目立つ。横に開く花びらのもとの部分には毛が生えている。距(きょ:花びらの後方にある袋状の部分)は細く、長さ約4ミリ。葉は長さ3センチほどの細長い三角状で、もとの部分はハート形をしている。裏面は紫色をおびて、ふちにでこぼことした鋸歯(きょし:葉のふちにあるノコギリの歯のようなギザギザ)があるのが特徴である。

    季節|3月下旬~4月上旬頃
    高さ|約3~8センチ
    場所|南高尾
  • マルバスミレ スミレ科
    マルバスミレ
    マルバスミレ スミレ科
    沢沿いの日当たりのよい斜面や林のふち、道端などに生える多年草(複数年のあいだ育成する植物)。葉の形がまるいことから「円葉菫(まるばすみれ)」の名が付けられた。同じように円形の葉をもつアオイスミレとよく似ているが、マルバスミレの葉は先がとがりハート形に近いので見分けがつく。花の直径は2センチほどで、花びらもまるみがあり、横に開く花びらには少し毛がある。主に白色だが、なかには花びらの裏が淡い紅色をしたものもある。群生することが多く、花の時期はとてもよく目立つ。距(きょ:花びらの後方にある袋状の部分)は長さ約6~7ミリで、紫色の斑点があるのが特徴である。花の時期の葉は長さ約2~4センチだが、夏葉になると長さ約7~8センチまで大きくなり、背丈も約30センチと高くなる。

    季節|4月上旬~5月上旬頃
    高さ|約5~10センチ
    場所|3号路、裏高尾
  • ヒメハギ ヒメハギ科
    ヒメハギ
    ヒメハギ ヒメハギ科
    日当たりのよい草地など、乾いたところに生える常緑の多年草(複数年のあいだ育成する植物)。花の姿がハギ(マメ科)の花を小さくしたようであることから「姫萩(ひめはぎ)」の名が付けられた。花の長さは1センチほどで、色は紅紫色。3枚の花びらがくっついた筒状の花で、その先から細かく裂けた房がのびている。花のもとの部分につく5枚の萼(がく:花の外側にある、葉の変化した器官)は花びらと同じ色をしており、そのうちの2枚は羽を広げるように開いているので、花びらのように見えるが、花が終わると萼は緑色に変わる。葉はまるみのある卵形で、先はとがり両面に毛が生えている。花が咲く時期の葉は長さ1センチほどだが、花が咲き終わると3センチ程度になる。茎には白く曲がった毛が密生している。

    季節|4月中旬~5月下旬頃
    高さ|約10~20センチ
    場所|稲荷山、奥高尾、南高尾
  • ハナネコノメ ユキノシタ科
    ハナネコノメ
    ハナネコノメ ユキノシタ科
    山地の渓流沿いの岩場や湿り気のある林のふちに生える多年草(複数年のあいだ育成する植物)。地味な花が多いネコノメソウの仲間のなかで、ひときわ美しい花を咲かせることから、その名が付けられた。まっすぐにのびる茎の先に、直径5ミリほどの小さな花を2~3個つける。花びらはないが、白くまるみのある4枚の萼(がく:花の外側にある、葉の変化した器官)が花びらのように上を向いて開いている。その内側からは、先端が紅色をした8本の雄しべが顔を出し、白と赤のコントラストがよく目立つ。葉はまるみのある扇形で、長さは約5~8ミリ。色は暗い緑色で、ふちににぶい鋸歯(きょし:葉のふちにあるノコギリの歯のようなギザギザ)がある。花が終わると、根もとから茎を四方にのばしてふえていく。茎にはまばらに毛が生えている。

    季節|3月中旬~4月中旬頃
    高さ|約5~10センチ
    場所|1号路、6号路、蛇滝、裏高尾
  • ユキノシタ ユキノシタ科
    ユキノシタ
    ユキノシタ ユキノシタ科
    湿った岩の上などに生える多年草(複数年のあいだ育成する植物)。冬でも雪の下で葉が枯れずに残っていることから、その名が付いたといわれる。花は白色で5枚の花びらがあり、下につく2枚は約1~2センチと長く、垂れ下がる。上の3枚は小さく、濃い紅色の斑点が入る。花茎(かけい:葉をつけずに花だけをつける茎) は細く腺毛(せんもう) が生え、そこにクリスマスツリーの飾りのように円錐状(えんすいじょう)にたくさんの花がつく。葉は長さ3~6センチの円い腎形(腎臓の形)で、根もとから出て長い柄(え)がある。表面は暗い緑色で、葉脈に沿って白い模様が入る。裏面は暗い紫色をおび、こげ茶色の毛が多く生える。葉の質は厚く、やわらかい。やけどなどに効く民間薬として昔から利用され、山菜としても食べられる。

    季節|5月下旬~6月下旬頃
    高さ|約20~50センチ
    場所|1号路、6号路、蛇滝、奥高尾
  • ジロボウエンゴサク ケシ科
    ジロボウエンゴサク
    ジロボウエンゴサク ケシ科
    山地や野原に生える多年草(複数年のあいだ育成する植物)で、明るい林の下やふちに多い。ヤマエンゴサクに似ているが、花は少し細く、花柄のつけねにある苞葉(ほうよう)にギザギザとした切れ込みがないので見分けがつく。名前の由来は、伊勢地方の方言でスミレを「太郎坊」というのに対して「次郎坊」と呼んだことから。子どもが、花弁の後に細長くでている距(きょ)という部分をからめて、引き合って遊んだため、親しみを込めて人名をつけて呼ばれたようだ。花は筒状で長さ約1.5センチ。色は紅紫色から青紫色でまれに白色も見かける。地中に太い根茎があり、そこから数本の細い茎をのばす。茎につく葉には柄(え)があり、卵形の葉が3枚ひと組でついている。

    季節|4月上旬~4月下旬頃
    高さ|約10~20センチ
    場所|裏高尾、北高尾
  • ミヤマキケマン ケシ科
    ミヤマキケマン
    ミヤマキケマン ケシ科
    日当たりのよい道端や林のふち、伐採跡地などに生える越年草(秋に発芽し越冬して翌年に花が咲く植物)。和名に「深山(みやま)」とついているが、低い山で普通に見られる。枝分かれした茎の先に、黄色い花をびっしりとつけているのでよく目立つ。全体に毒をもっている。4月ごろ、株の中心から茎をのばし、筒状で先が唇形に開いた長さ約2センチの花をたくさんつける。葉は、白い粉をふいたような緑色のものから、赤みをおびたものなどさまざま。手触りはやわらかく、細かな切れ込みがある。葉をもむとゴムのような独特の臭いがする。花が終わると、長さ約3センチの数珠のような形をした実をつける。

    季節|4月上旬~5月中旬頃
    高さ|約20~40センチ
    場所|1~3号路、5号路、蛇滝、裏高尾、奥高尾
  • ムラサキケマン ケシ科
    ムラサキケマン
    ムラサキケマン ケシ科
    山地の明るい林の下やふちに生える越年草(秋に発芽し越冬して翌年に花が咲く植物)で、平地でも普通に咲いている。ケマン(華鬘)とは、仏壇に飾る花輪をかたどった仏具のことで、花の姿が似ていることから、その名が付けられた。全体がやわらかく、傷つけるとやや悪臭がある。根生葉(こんせいよう:茎の根もと近くから生える葉)が地をはうように広がり、冬を越す。春になると茎をのばし、その先に長さ約1.5センチの花をたくさんつける。花は紅紫色で、ヤマエンゴサクやジロボウエンゴサクとよく似ているが、葉がニンジンの葉のような細かな切れ込みがあるので見分けがつく。全体に毒を含み、誤って食べると嘔吐(おうと)などをひきおこす。高尾山で見られるウスバシロチョウの幼虫はこの葉を食べる。

    季節|4月上旬~5月中旬頃
    高さ|約20~50センチ
    場所|1号路、3号路、稲荷山、裏高尾、奥高尾、南高尾
  • ヤマエンゴサク ケシ科
    ヤマエンゴサク
    ヤマエンゴサク ケシ科
    山野の明るい林のふちや林内に生えている多年草(複数年のあいだ育成する植物)。高尾山では、沢沿いなど湿り気のある場所に多く見られる。早春にとんがり帽子のような形の花を咲かせる。花の長さは約2センチで、色は赤紫色から青紫色。標高が高いところや北へいくほど青みが強くなる。苞葉(ほうよう:花のつけねにある葉が変形したもの) に切れ込みがあり、よく似るジロボウエンゴサクの苞葉には切れ込みがないことで、両者を区別できる。葉は 三出複葉( さんしゅつふくよう)で、長い柄(え)から小さな葉が3枚ひと組でつく。葉の形は、鳥の足のように3つに分かれている。地中にある小さな茎は「延胡索(えんごさく)」という漢方薬になり、痛みやけいれんを和らげる効能がある。

    季節|3月下旬~4月中旬頃
    高さ|約10~20センチ
    場所|裏高尾、北高尾
  • アズマイチゲ キンポウゲ科
    アズマイチゲ
    アズマイチゲ キンポウゲ科
    早春に山地の明るい林や草地などに生える多年草(複数年のあいだ育成する植物)。春の訪れを告げる花のひとつとして知られ、沢沿いの落葉樹林のふちに多く見られる。花の直径は約3~4センチ。陽光を浴びて、茎の先に白い花を一輪だけ咲かせる。関東地方に多く、花が1つということから「東一華(あずまいちげ)」の名が付いた。花びらに見えるのは萼片(がくへん)で、裏側は少し紫色をおびている。葉は 三出複葉(さんしゅつふくよう)といって、小さな葉が3枚ひと組でつく。葉の大きさは約2~3センチで先は丸みがある。やわらかく、だらりと垂れているところが特徴である。春先に同じような場所に咲くキクザキイチゲと似ているが、こちらの葉はふちがギザギザしているので見分けがつく。

    季節|3月下旬~4月中旬頃
    高さ|約10~15センチ
    場所|裏高尾、南高尾
  • イチリンソウ キンポウゲ科
    イチリンソウ
    イチリンソウ キンポウゲ科
    山地の明るい林のふちや沢沿いの草原など、湿り気のあるところに生える多年草(複数年のあいだ育成する植物)。1本の茎の先に大きな白い花を一輪咲かせることから「一輪草」の名が付いた。まれに二輪咲くことがあり「ニリンソウでは」と迷ったときは、葉が細かく裂けていて、花が大きいところが見分ける際のポイントになる。花の直径は約4センチで、存在感がある。5~6枚の花びらに見える萼片(がくへん)が開いている。多くは白色だが、ときどき裏側が淡い紫色をしたものが見られることから「ウラベニイチゲ」の別名もある。長い柄(え)がある3枚の葉が、茎の途中からついている。葉は細かな切れ込みがたくさんあり、ギザギザとした形が特徴である。

    季節|4月中旬~5月中旬頃
    高さ|約15~20センチ
    場所|裏高尾、南高尾
  • トウゴクサバノオ キンポウゲ科
    トウゴクサバノオ
    トウゴクサバノオ キンポウゲ科
    山地の沢沿いの道端や林のふちなど、やや湿ったところに生えている多年草(複数年のあいだ育成する植物)。全体に無毛で、やわらかい感じの植物である。花が終わると緑色の細長い実が2つ、対になってつく。これが鯖の尾のようだということと、関東地方に多いことから「東国鯖の尾(とうごくさばのお)」の名が付けられた。花の直径は約6~8ミリで、淡いクリーム色をしている。花びらに見える萼片(がくへん)の内側には、軍配のような形をした黄色い花弁がある。葉は淡い緑色で、根もとには数枚の根生葉(こんせいよう:茎の根もと近くから生える葉)がつく。茎には、3枚から5枚の小さな葉が対になって開いている。葉の形はうちわのようで、ふちににぶい鋸歯(きょし:葉のふちにあるノコギリの歯のようなギザギザ)がある。夏になると根もとにつぼみのような閉鎖花(へいさか:開花せずに受粉を行なう花) をつける。

    季節|4月上旬~5月上旬頃
    高さ|約10~15センチ
    場所|裏高尾、南高尾
  • ニリンソウ キンポウゲ科
    ニリンソウ
    ニリンソウ キンポウゲ科
    山地の明るい林のふちや林内、沢沿いの草原などに生えている多年草(複数年のあいだ育成する植物)。1本の茎に2個の白い花をつけることが「二輪草」の名の由来だが、実際には1輪や3輪のものも多く見られる。少し湿ったところを好み、水辺に近い林などではよく群生する。新緑の頃、あたり一面を白く覆い尽くす光景はとても美しい。花の直径は約2センチで、葉の間からのびた2本の花柄(かへい:花をささえる柄) の先端で咲く。イチリンソウと比べると、ずっと小さく感じる。花びらに見える5枚の萼片(がくへん)があり、主に白色だが、なかには薄紅色や緑色のものがある。また、萼片が9枚のものなど、変化に富んでいる。茎の途中から柄(え)のない3枚の葉を出すことが特徴である。

    季節|4月上旬~5月上旬頃
    高さ|約15~20センチ
    場所|1号路、6号路、蛇滝、裏高尾、奥高尾、南高尾、北高尾
  • ミヤマハコベ ナデシコ科
    ミヤマハコベ
    ミヤマハコベ ナデシコ科
    沢沿いの林のふちや林内、林道のふちなど、湿った日陰に生える多年草(複数年のあいだ育成する植物)。ハコベの仲間のなかでは、特に花が大きい種類である。白い花が上を向いて開いているので、とてもよく目立つ。花の直径は約1~1.5センチで、葉のつけねからのびた柄(え)の先に1個つく。花びらの数は5枚だが、それぞれが深く2つに裂けているので10枚あるように見える。花のもとにつく萼片(がくへん)はとがり、外側に白く長い毛が生える。葉は長さ約1~3.5センチの広い卵形で、トランプのスペードのよう。葉の裏面には、葉脈に沿ってうぶ毛が生える。茎の下の方につく葉には長い柄がある。茎は毛が二列に生えているのが特徴で、地をはうように広がる。

    季節|4月下旬~6月下旬頃
    高さ|約20~30センチ
    場所|裏高尾
  • ウワバミソウ イラクサ科
    ウワバミソウ
    ウワバミソウ イラクサ科
    沢沿いの道端や斜面など、湿ったところに群生する多年草(複数年のあいだ育成する植物)。ウワバミ(大きな蛇)が住んでいそうな場所に多く生えることから、その名が付いた。また、茎に水分を多く含んでいることから「ミズ」や「ミズナ」とも呼ばれ、人気のある山菜のひとつとしても知られる。茎は赤みをおびて、左右非対称の葉がつく。葉は約4~10センチで、先が尾のようにのびた楕円形をしている。両面には毛が生え、ふちに大きめの鋸歯(きょし:葉のふちにあるノコギリの歯のようなギザギザ) がある。葉のつけねから短い柄(え)を出し、淡い黄緑色の小さな花がかたまって咲く。雄花は柄の先につき、雌花は葉のつけねにつく。秋には栄養分を蓄えた芽が球状になる「むかご」ができる。

    季節|4月下旬~6月上旬頃
    高さ|約20~30センチ
    場所|1号路、3~4号路、6号路、裏高尾
  • ヒトリシズカ センリョウ科
    ヒトリシズカ
    ヒトリシズカ センリョウ科
    山麓から山の上までの林下や草原に生える多年草(複数年のあいだ育成する植物)。茎の上部に4枚の葉が茎をかこむようについており、その中心から1本の白い花序(かじょ:花をつけた茎)が立っている。その姿を優雅に舞う静御前(しずかごぜん)にたとえて「一人静」の名が付けられた。花序の長さは3センチほどで、白いブラシのようである。白く見えるのはすべて雄しべで、花びらも萼(がく:花の外側にある、葉の変化した器官)もついていないところが特徴である。茎は真っすぐに立ち、のびはじめのころは赤紫色を帯びているものが多い。葉は長さ約6~10センチの先がとがった楕円形で、光沢がある濃い緑色をしており、ふちには鋭い鋸歯(きょし:葉のふちにあるノコギリの歯のようなギザギザ)がある。花が終わると、直径約2.3~3ミリの球形の実をつける。

    季節|4月上旬~5月上旬頃
    高さ|約10~15センチ
    場所|裏高尾、奥高尾、南高尾
  • エビネ ラン科
    エビネ
    エビネ ラン科
    雑木林や竹林の中などに生える多年草(複数年のあいだ育成する植物)。まっすぐにのびた茎の上部に10~20個の花がやや間隔をあけてついている。近年、園芸目的の盗掘(とうくつ)で数が減ってしまっている。地下茎(ちかけい)は球状になった節が連なり、それが体を曲げたエビのように見えることから「海老根」の名が付けられた。花の直径は約2~3センチで、3枚の花びらと3枚の萼片(がくへん)からなる。一番下の花びらは大きく分裂し、普通は淡い紅色か白色。花びらと萼片はこげ茶色だが、個々の差が多い。根生葉(こんせいよう:茎の根もと近くから生える葉)は長さ約10~30センチ、幅約5~8センチの長い楕円形で、根もとから3~5枚出て、茎を包むように上にのびる。葉は冬も残り、開花時期に新しい葉が出ると枯れる。

    季節|4月中旬~5月中旬頃
    高さ|約30~40センチ
    場所|奥高尾
  • キンラン ラン科
    キンラン
    キンラン ラン科
    山地や丘陵の明るい雑木林の中に生える多年草(複数年のあいだ育成する植物)。雑木林の減少とともに数は減っており、高尾山でもなかなか見られなくなったランのひとつ。鮮やかな黄色の花を咲かせることから「金蘭」の名が付けられた。花の直径は約1~1.5センチで、茎の先に3~12個がやや上向きにつく。完全に開くものは少なく、半開きの花が多い。花びらと萼(がく:花の外側にある、葉の変化した器官)の色と形はほぼ同じ。一番下につく花びらはつけねの部分が筒状で、内側には 隆起線(りゅうきせん)と呼ばれるこげ茶色の出っ張りが5~7個ある。葉は笹の葉に似て、長さ約8~15センチ、幅約2~4.5センチ。縦方向にしわがあり、茎を抱くように互い違いにつく。地下茎(ちかけい)は地中に深くのびる。

    季節|4月下旬~5月下旬頃
    高さ|約30~60センチ
    場所|裏高尾、奥高尾
  • シュンラン ラン科
    シュンラン
    シュンラン ラン科
    明るく乾燥した雑木林などに生えている多年草(複数年のあいだ育成する植物)。本種も高尾山で数が少なくなったランのひとつ。漢字で「春蘭(しゅんらん)」と書くように、ランのなかでは最も春早くに咲く。花の直径は約3~3.5センチで、花茎(かけい:葉をつけずに花だけをつける茎)の先に普通1個つける。花びらの側弁と萼片(がくへん)は黄緑色。一番下につく花びらにある濃い赤い斑点がホクロやシミにみえることから「ホクロ」「ジジババ」とも呼ばれる。花茎は半透明の鱗片(りんぺん:葉が変形してうろこ状になったもの)に包まれ、やわらかい質感で太い。葉は細長く、長さ約20~35センチ、幅約0.6~1センチ。触るとかたく、ざらざらとしていて、ふちに鋸歯(きょし:葉のふちにあるノコギリの歯のようなギザギザ)がある。1年中、緑色の葉が根もとからたくさん出ているので、春早い時期でもよく目立つ。

    季節|3月下旬~4月下旬頃
    高さ|約15~25センチ
    場所|5号路、稲荷山、裏高尾、奥高尾、南高尾
  • シャガ アヤメ科
    シャガ
    シャガ アヤメ科
    山麓から頂上にかけて、沢筋、林の中やふちなど、うす暗いところに生えている常緑の多年草(複数年のあいだ育成する植物)。種をつくることができないため、根茎をどんどんとのばして、ふえていく植物である。その特徴を利用して、土手道などの土留めによく植えられている。花の直径は約4~6センチで朝開いて夕方にしぼむ。花びらのふちには細かい切れ込みがある。全体に淡い紫色で、外側の花びらの中央部に入る紫色とオレンジ色の模様が美しい。花の期間が長く、群生して咲いているのでよく目立ち、高尾山でもあちこちで見ることができる。葉は剣形で、長さは約30~60センチ。つやつやとした光沢がある、鮮やかな緑色をしている。

    季節|4月中旬~5月下旬頃
    高さ|約50~60センチ
    場所|1~6号路、稲荷山、蛇滝、裏高尾、いろは、奥高尾
  • ウラシマソウ サトイモ科
    ウラシマソウ
    ウラシマソウ サトイモ科
    平地から低い山の木陰に生える多年草(複数年のあいだ育成する植物)。葉の柄(え)のもとあたりから花茎(かけい:葉をつけずに花だけをつける茎)を出し、暗い紫色をした仏炎苞(ぶつえんほう):芽やつぼみを包む葉が変化したもの)を出す。雄株と雌株があるが、若いうちは雄株で、生長すると雌株に転換する。仏炎苞の中から、花の軸の先を長いむちのようにのばしているのが大きな特徴である。その姿を浦島太郎が釣り糸をたらしている様子に見立てて「浦島草」の名が付けられた。葉の柄は、地面近くの根もとからのびて約50センチの高さになり、太い茎のように見える。その先に11~17枚の葉がひと組で、鳥の足のように大きく広がる。サポニンなどの毒性のある成分を含んでおり、誤って食べると口が焼けるように痛む。

    季節|4月中旬~5月下旬頃
    高さ|約40~60センチ
    場所|裏高尾
  • ヤブレガサ キク科
    ヤブレガサ
    ヤブレガサ キク科
    丘陵から山地の雑木林に生える多年草(複数年のあいだ成育する植物)。4月中旬、地面から芽吹いた若葉の姿が、破れた傘をすぼめたように見えることから、その名が付けられた。はじめは根生葉(こんせいよう:茎の根もと近くから生える葉)が1枚だけだが、株が大きくなると長い花茎(かけい:葉をつけずに花だけをつける茎)をのばして、直径1センチほどの花をつける。花は頭花(とうか:筒状の小さな花が密生して、ひとつの花に見える花)で、白色または淡い紅色。先が5つに裂けた筒状花(とうじょうか:中央に密集する、花びらのつかない筒状の花)が7~13個ほど集まって咲き、つき出している雄しべがよく目立つ。葉は円形で、直径約35~50センチ。手の平のように深く裂け、長い柄(え)がある。若葉のころは綿毛が生えているが、成長するとなくなる。若葉はゆでて水にさらし、和えものや酢の物、汁の実などに、またはそのまま天ぷらにして食べられる。

    季節|6月下旬~10月中旬頃
    高さ|約50センチ~1メートル
    場所|1号路、3~5号路、裏高尾、北高尾
  • ホタルブクロ キキョウ科
    ホタルブクロ
    ホタルブクロ キキョウ科
    山野のやや乾燥した草地や道端に生える多年草(複数年のあいだ成育する植物)。全体に毛が生え、節々から根をおろす匍匐枝(ほふくし)を横に出してふえる。名前の由来には、花の形を提灯に見立てて昔の提灯の呼び名である「火垂る袋(ほたるぶくろ)」をあてたという説と、子どもが花の中にホタルを入れて遊んだためという説がある。花は長さ約4~5センチのつりがね形で、白、紫、淡い紅色のものなどがある。花びらの先は浅く5つに裂け、萼片(がくへん:花の外側にある、葉の変化した器官を萼といい、そのひとつひとつを萼片という)の間に反り返った付属体がある。よく似ているヤマホタルブクロには付属体がないので見分けがつく。茎につく葉は長さ約5~8センチの長い卵形で、先がとがり、ふちにはふぞろいの鋸歯(きょし:葉のふちにあるノコギリの歯のようなギザギザ)がある。根生葉(こんせいよう:茎の根もと近くから生える葉)はハート形で、花の時期には枯れる。

    季節|6月中旬~7月下旬頃
    高さ|約30~80センチ
    場所|1号路、5号路、稲荷山、蛇滝、裏高尾、奥高尾、南高尾
  • オトコエシ オミナエシ科
    オトコエシ
    オトコエシ オミナエシ科
    日当たりのよい山野に普通に生える多年草(複数年のあいだ成育する植物)。根もとから走出枝(そうしゅつし:地表をはってのびる枝。ランナーとも呼ばれる)をのばして、先端に子株をつくってふえる。「男郎花(おとこえし)」の名の由来は、黄色い花をつける「女郎花(おみなえし)」と対比させて付けられたもので、花の色は白く地味だが、茎や葉は大きく、強く丈夫そうに見えることによる。花は直径約4ミリで、枝分かれをした茎の先にたくさんつく。葉は長さ約3~15センチの楕円形で、茎の下部につく葉は羽状(うじょう)に裂ける。茎の下部には白い粗い毛が生えている。花が終わると、長さ約3ミリの卵形の実をつける。実には円形のつばさ状の部分があり、熟すと風で運ばれる。根は消炎などの効果がある漢方薬として用いられる。

    季節|8月~10月頃
    高さ|約60センチ~1メートル
    場所|3号路、南高尾
  • ツリフネソウ ツリフネソウ科
    ツリフネソウ
    ツリフネソウ ツリフネソウ科
    沢沿いの道端や水辺など、湿り気のあるところに生える一年草(発芽してから1年以内に結実し、枯れる草)。葉の脇から花茎(かけい:葉をつけずに花だけをつける茎) を出し、紅紫色の花を数個つける。つり下がる花の姿を釣舟という花器に見立てて、その名が付けられた。花は長さ約3~4センチで、先が上下に大きく開く。花びらと萼片(がくへん:花の外側にある、葉の変化した器官を萼といい、そのひとつひとつを萼片という)はそれぞれ3枚ずつあり、そのうちの1枚の萼片が大きく袋状になり、後ろの部分がくるりと巻いた距(きょ:花びらの後方にある袋状の部分)になっているのが特徴。葉は長さ約5~13センチ、幅約2~6センチのひし形状の楕円形で、長い柄(え)がある。先はとがり、ふちに細かい鋸歯(きょし:葉のふちにあるノコギリの歯のようなギザギザ) がある。茎はやや赤みをおびて、節がふくらむ。花が終わると長さ約1~2センチの実をつける。熟すと少しの刺激ではじけて種を飛ばす。

    季節|9月上旬~10月中旬頃
    高さ|約40~80センチ
    場所|1号路、4号路、6号路、裏高尾、奥高尾、南高尾
  • マツカゼソウ ミカン科
    マツカゼソウ
    マツカゼソウ ミカン科
    山地の木陰や沢沿いに生える多年草(複数年のあいだ育成する植物)。日本産のミカン科植物のなかで唯一、草本(そうほん)といって木ではなく草として育つ植物である。葉の裏面にミカン科特有の半透明な油点(葉に散在する、油分を含んだ小点)がある。強い臭いがするため、昔は虫よけに使われた。花は直径5ミリ程度。花びらは4枚で、雄しべが長くつき出す。色は白く、枝先の花序(かじょ:花をつけた茎) にたくさん集まってつく。「松風草」の名はヘンルウーダという南欧原産のミカン科の草本があり、「松の枝に似たヘンルウーダ」を意味する言葉が変化したとされる。葉は三回三出(さんかいさんしゅつ)羽状複葉(うじょうふくよう:葉柄に複数の小さな葉をつける葉の形状) といって、3枚ひと組の葉が3回枝分かれをしてつく。小葉(しょうよう:複数の葉で構成される葉形のひとつひとつの葉のこと) は卵を逆さにしたような形で長さ約1~2.5センチ。質はやわらかく、裏面は白色をおびる。花が終わると長さ3ミリほどの4つに分かれる実がつく。熟すと割れ、中に小さな種が数個入っている。

    季節|8月下旬~10月上旬頃
    高さ|約50~80センチ
    場所|1~6号路、裏高尾、奥高尾
  • クズ マメ科
    クズ
    クズ マメ科
    山野に普通に見られるつる性の多年草(複数年のあいだ育成する植物)で、秋の七草のひとつ。他の草木にからみつき長さ10メートルくらいになる。根は太く、多くのデンプンを含み葛粉(くずこ)の原料となり、特産地が奈良県の国栖(くず)地方であったことからその名が付いた。また、乾燥させて風邪薬の葛根湯にも用いられる。葉の脇から約10~20センチの花茎(かけい:葉をつけずに花だけをつける茎) を出し、たくさんの花をつける。花は長さ約1.5~2センチで色は赤紫色。下方にある花から咲いていき、甘い香りがある。葉は3枚がひと組でつく複葉で、小葉(しょうよう:複数の葉で構成される葉形のひとつひとつの葉のこと)は長さ約10~15センチ。円形に近い卵形で浅く2~3つに裂けるものが多く、裏に白い毛が密生する。若いつるや茎、花やつぼみは、天ぷらなどにして食べられる。

    季節|7月中旬~9月中旬頃
    高さ|―(つる性木本)
    場所|1号路、4号路、6号路、蛇滝、裏高尾
  • フジカンゾウ マメ科
    フジカンゾウ
    フジカンゾウ マメ科
    山野の林内に生える多年草(複数年のあいだ育成する植物)。茎に細かな毛が生え触ると少し粘り気がある。花は長さ1センチくらいでピンク色。茎の先や葉の脇からのびた30センチほどの細長い花茎(かけい:葉をつけずに花だけをつける茎)にまばらにつく。葉は鳥の羽のように並んだ5~7枚の葉がひと組で、茎に互い違いにつく。小葉(しょうよう:複数の葉で構成される葉形のひとつひとつの葉のこと)は長い卵形で長さ10センチくらい。名の由来は、花がフジ、葉がカンゾウに似ることによる。花が終わると、さやが種ごとに仕切られる節果(せっか)という実をつける。褐色に熟した実にはかぎ状の毛が密生し、動物や衣服にくっついて運ばれる。節果は2つに分かれた半月形で長さ2センチくらい。よく似る同じ仲間のヌスビトハギの実の2倍ほどになる。

    季節|8月~9月頃
    高さ|約50センチ~1メートル50センチ
    場所|1~2号路、4~6号路、稲荷山、裏高尾、奥高尾
  • キンミズヒキ バラ科
    キンミズヒキ
    キンミズヒキ バラ科
    山野の草地や道端など、やや湿り気のあるところに生える多年草(複数年のあいだ育成する植物)。茎はまっすぐにのび、毛が密生する。茎の先の葉の脇から約10~20センチの細い穂を出し、小さな黄色い花をたくさんつける。花穂(かすい:小さな花が集まって穂のようになったもの)の姿を包み紙に掛ける金色の水引に見立てて、その名が付けられた。花の直径は約0.7~1センチで、花びらは5枚。下から上へと咲いていく。葉は卵形で長さ約3~6センチ。鳥の羽のように並ぶ5~9枚の葉がひと組で、茎に互い違いにつく。裏面には腺点(せんてん:分泌物を出す小さな穴)が多く、ふちに鋭い鋸歯(きょし:葉のふちにあるノコギリの歯のようなギザギザ)がある。花が終わると長さ3ミリほどの種をつける。実はかぎ状のとげがたくさんついた萼(がく:花の外側にある、葉の変化した器官)に包まれ、動物や衣服にくっついて運ばれる。

    季節|7月下旬~9月下旬頃
    高さ|約50センチ~1メートル
    場所|3号路、裏高尾、奥高尾
  • サイハイラン ラン科
    サイハイラン
    サイハイラン ラン科
    山地の沢沿いの林内など、ややうす暗いところに生える多年草(複数年のあいだ育成する植物)。花の姿を戦国時代の武将が戦で指揮をとるときに使った采配(さいはい)に見立てて「采配蘭」の名が付けられた。花の形は細長く、長さ約3センチ。茎の上部に10~20個の花が下向きに咲く。色はピンク色をおびた褐色で、なかには赤みの強いものもある。手前につき出る花びらは先が3つに裂ける。花の中には白い蕊柱(ずいちゅう:雄しべと雌しべが結合してできた器官)とその先につく黄色い花粉のかたまりが見える。長さ約15~35センチの先がとがった長い楕円形の葉が通常1枚つき、冬の間も残っている。よれよれとした大きな笹の葉のようで、花の無い時期でもよく目立つ。

    季節|6月上旬~7月上旬頃
    高さ|約30~50センチ
    場所|1号路、3号路、6号路、裏高尾、奥高尾
  • オオバジャノヒゲ ユリ科
    オオバジャノヒゲ
    オオバジャノヒゲ ユリ科
    山地の常緑樹林の下など、うす暗いところに生える常緑の多年草(複数年のあいだ育成する植物)。長いつるが地中を浅くのびてよく群生する。葉の様子を蛇のひげに見立てたことが、名の由来となったジャノヒゲの仲間で、オオバジャノヒゲの方が葉の幅が広く厚みがあることから「大葉蛇の髭」の名が付いた。根の脇から生える葉は細長く、長さ約20~40センチ、幅約4~7ミリ。表面は光沢があり、ふちはざらざらしている。花の直径は約6~7ミリで、白または淡い紫色。高尾山では白いものが多く見られる。少し曲がった花茎(かけい:葉をつけずに花だけをつける茎)に下向きにたくさんつき、下から上へと咲いていく。実は皮が早くに落ちてしまい、種がむきだしになってつき、熟すと灰色をおびた暗い緑色になる。

    季節|6月下旬~7月中旬頃
    高さ|約15~25センチ
    場所|2~3号路、5号路、北高尾
  • ヤブラン ユリ科
    ヤブラン
    ヤブラン ユリ科
    山地の林のふちや林内の木陰に生える常緑の多年草(複数年のあいだ育成する植物)。公園や庭の下草としてよく植えられている。根生葉(こんせいよう:茎の根もと近くから生える葉)がたくさんついて大きな株をつくり、約8~12センチの花穂(かすい:小さな花が集まって穂のようになったもの)を何本も出し、そこに直径8ミリほどの小さな花がびっしりとかたまって咲く。色は淡い紫色で花びらは6枚、花の中心に6本の黄色い雄しべがある。葉は長さ約30~50センチ、幅約0.8~1.2センチと細長く、深い緑色をしており光沢がある。やぶに生え、葉の形がランに似ていることからその名が付けられた。花が終わると、光沢がある果実のように見える種をつける。種は直径約6~7ミリの球形で、はじめは緑色をしているが、秋に黒紫色に熟す。

    季節|8月中旬~10月上旬頃
    高さ|約30~50センチ
    場所|2号路、5号路、裏高尾
  • ヤマホトトギス ユリ科
    ヤマホトトギス
    ヤマホトトギス ユリ科
    山地の林のふちや林内などに生える多年草(複数年のあいだ育成する植物)。茎の先や葉の脇から花茎(かけい:葉をつけずに花だけをつける茎) をのばし、上向きに咲く花を数個つける。花は直径約3センチで、白色の花びらと雄しべに紫色の斑点が入る。その斑点が鳥のホトトギスの胸の模様に似ていることからこの名になった。6枚の花びらが、下に大きくそり返るのが特徴で、内側からは雄しべと雌しべの花柱(かちゅう)が噴水のようにつき出している。葉は長さ約8~13センチの先がとがった長い楕円形で、葉のもとの部分は茎を抱くようにつく。茎には下向きの毛が生えるが、毛の量には個体差が多い。花が終わると長さ3センチほどの実をつける。熟すと上部から割れて、小さな楕円形の種を散らす。

    季節|8月中旬~10月上旬頃
    高さ|約40~70センチ
    場所|2号路、4号路、6号路、裏高尾
  • ヤブミョウガ ツユクサ科
    ヤブミョウガ
    ヤブミョウガ ツユクサ科
    沢沿いの林のふちや湿り気のある林内に生える多年草(複数年のあいだ育成する植物)。長い茎をまっすぐにのばし、白い小さな花をたくさんつける。茎には毛が多く、手触りはざらつく。白色の地下茎(ちかけい)が横に長くのびる。花は直径約6~8ミリで、茎の先に5~6段の輪のようになって咲く。その日のうちにしぼむ一日花で、雌花と両性花(一つの花に雄しべと雌しべをもつ花)がまじってつく。葉は長い楕円形で、長さ約15~30センチ。1本の茎の中間あたりに6~7枚が集まり、つけね部分は茎を包むようにつく。名前の由来は、葉がミョウガ(ショウガ科)に似て、やぶに生えることによる。花が終わると水分を多く含む直径5ミリほどの球形の実をつける。最初は白く、秋には藍色になり熟す。

    季節|8月中旬~9月中旬頃
    高さ|約50センチ~1メートル
    場所|1~2号路、4~6号路、稲荷山、蛇滝、裏高尾
  • アズマヤマアザミ キク科
    アズマヤマアザミ
    アズマヤマアザミ キク科
    山地の沢沿いの林のふちや林内に生える多年草(複数年のあいだ育成する植物)。九州や四国に分布するヤマアザミに対し、関東地方に多いことからその名が付いた。花は小さな花が密生する頭花(とうか:筒状の小さな花が密生して、ひとつの花に見える花) で茎の先に1~3個上向きにつく。色は赤紫色で花の下に筒状の総苞(そうほう:花を包むつぼみのような部分)がつく。総苞は長さ約1.5センチで毛が密生しやや粘り気がある。茎につく葉は長さ約20センチで細長く、羽状(うじょう:鳥の羽のような状態)に裂けて鋭くとがり、ふちにもとげがある。根生葉(こんせいよう:茎の根もと近くから生える葉) は白いまだら模様が入り花の時期には枯れる。花が終わると綿のような白い毛がある種をつける。冬には枯れた茎の中の水分が凍りつき、氷の花を咲かせたような「霜柱」をつくることでも知られる。

    季節|9月上旬~10月下旬頃
    高さ|約1.5~2メートル
    場所|1~2号路、裏高尾、奥高尾
  • カシワバハグマ キク科
    カシワバハグマ
    カシワバハグマ キク科
    山地の乾いた林のふちや林内に生える多年草(複数年のあいだ育成する植物)。根茎(こんけい)は横にはい、茎は枝分かれをすることなくまっすぐにはえる。花は10個ほどの小花が密生する頭花(とうか:筒状の小さな花が密生して、ひとつの花に見える花)で、茎の上部に5~6個がつく。花の色は白色で、先が5つに裂け、くるりとそり返る。花の下には長さ約1.7~2.7センチの円柱形の総苞(そうほう:花の基部を包む、葉の変化したもの)がある。葉は長さ約10~20センチで、カシワに似た長い楕円形をしており、ふちには粗い歯牙(しが:山形のギザギザ)がある。長い柄(え)があり、茎の中央部に集まって互い違いにつく。花が終わると、長さ約1センチの種をつけ、種には長さ1.4センチほどの綿毛が生えている。冬には枯れた茎の中の水分が凍りつき、「霜柱」をつくる。

    季節|9月中旬~10月中旬頃
    高さ|約30~70センチ
    場所|1~6号路、稲荷山、蛇滝、裏高尾、奥高尾
  • シュウブンソウ キク科
    シュウブンソウ
    シュウブンソウ キク科
    山地の沢沿いの林のふちや道端に生える多年草(複数年のあいだ育成する植物)。秋分のころに花の盛りを迎えることから、その名が付けられた。茎は高さ1メートルほどになったところで2~4本の横枝をのばし、葉の脇から出る短い柄(え)の先に小さな花をつける。花は直径5ミリほどの頭花(とうか:筒状の小さな花が密生して、ひとつの花に見える花)で、色は淡い黄緑色。中央部分に先が5つに裂けた筒状花(とうじょうか:中央に密集する、花びらのつかない筒状の花)が集まり、その周辺を白い小さな突起のような花びらが2列に並んでかこむ。葉は長さ約7~15センチ、幅約2~3センチの細長い楕円形で、先が鋭くとがる。葉の両面にかたく短い毛が生え、手触りはざらついていて、上半分のふちには波状の歯牙(しが:山形のギザギザ)がある。花が終わると、長さ約2.5ミリの楕円形の種をつける。

    季節|9月中旬~10月中旬頃
    高さ|約50~90センチ
    場所|1~6号路、稲荷山、蛇滝、裏高尾
  • ナンテンハギ マメ科
    ナンテンハギ
    ナンテンハギ マメ科
    山地の林のふちや土手など日当たりのよいところに生える多年草(複数年のあいだ育成する植物)。直立してのびる茎には、ひれのような稜(りょう:茎のたて方向に沿って張り出した部分)がある。花は長さ1.5センチほどで先が蝶のような形。色は紅紫色で、葉の脇から出る約2~4センチの花序(かじょ:花をつけた茎) にたくさんかたまってつく。葉は2枚がひと組の複葉で、茎に互い違いにつく。小葉(しょうよう:複数の葉で構成される葉形のひとつひとつの葉のこと)は長さ約3~7センチの長い卵形で、毛が生え、短い柄(え)がある。名前の由来は、葉の形がナンテン(メギ科)に似ることによる。また2枚の複葉であることから「フタバハギ」の別名がある。花が終わると長さ3センチほどの豆のさやのような実をつけ、中に3~7個の種が入っている。春に出る新芽はアズキナと呼ばれ、山菜として食べられる。

    季節|6月~10月頃
    高さ|約30~60センチ
    場所|裏高尾
  • ヤブマメ マメ科
    ヤブマメ
    ヤブマメ マメ科
    山地の林のふちや草地など日当たりのよいところに生える一年草(発芽してから1年以内に結実し、枯れる草)。茎は下向きの毛が密生し、細長く1メートルほどのびて他の草木にからみつく。やぶで多く見られることからその名が付いた。花は長さ2センチほどで先が蝶のような形。白っぽい花びらのふちは濃い紫色をしており、葉の脇から出る花序(かじょ:花をつけた茎) に数個がつく。またこの花とは別に閉鎖花(へいさか:開花せずに受粉を行なう花) を地上と地下茎(ちかけい)につけるのが特徴。葉は3枚がひと組で茎に互い違いにつく。小葉(しょうよう:複数の葉で構成される葉形のひとつひとつの葉のこと)は長さ3~6センチの広い卵形で毛が生える。花が終わると長さ約2~3センチのさや状の実をつける。熟すと半分に裂けて、黒い斑点があるウズラの卵のような種を出す。

    季節|9月~10月頃
    高さ|―(つる性)
    場所|1号路、4~6号路、裏高尾
  • サラシナショウマ キンポウゲ科
    サラシナショウマ
    サラシナショウマ キンポウゲ科
    山地の木陰や沢沿いに生える多年草(複数年のあいだ成育する植物)。高くのびた茎の先にブラシのような形をした長さ約10~30センチの花穂(かすい:小さな花が集まって穂のようになったもの)をつける。花穂には長さ約5~7ミリの白い花が150個以上もついている。同じ仲間のイヌショウマと似ているが、葉の形が異なる上にサラシナショウマの花には長さ1センチほどの 柄(え)があるので見分けがつく。葉は3枚ひと組の複葉が何枚も集まって、互い違いに茎につく。小葉(しょうよう:複数の葉で構成される葉形のひとつひとつの葉のこと)は長さ約3~8センチの先のとがった卵形で、ふちにふぞろいの鋸歯(きょし:葉のふちにあるノコギリの歯のようなギザギザ)がある。名前の由来は、若葉をゆで、水でさらして食べたことと、升麻は中国での呼び名であることから「晒菜升麻(さらしなしょうま)」と付いた。花が終わると長さ1センチほどの実をつける。熟すと割れて周囲に薄いひだがある種を出す。

    季節|9月下旬~10月下旬頃
    高さ|約60センチ~1.2メートル
    場所|1号路、4~6号路、稲荷山、裏高尾、奥高尾
  • ヒガンバナ ヒガンバナ科
    ヒガンバナ
    ヒガンバナ ヒガンバナ科
    土手やあぜ道、墓地などに群生する多年草(複数年のあいだ成育する植物)だが、有史以前に中国から渡来したと考えられている。秋の彼岸のころ、鮮やかな赤い花が咲くことからその名が付いた。法華経で天上界の花、紅色の花を意味するといわれる「曼珠沙華(まんじゅしゃげ)」の別名がある。鱗茎(りんけい:養分を蓄積して肥大した葉が短い茎に密につくもの)からまっすぐにのびた花茎(かけい:葉をつけずに花だけをつける茎) の先に5~7個の花が集まってつく。長さ約4センチの6枚の細長い花びらがそり返り、雄しべが長くつき出る。花の咲く時期には葉はなく、晩秋に出て冬を越し、翌年の春に枯れる。葉は細長く、長さ約30~60センチ、幅約6~8ミリ。深い緑色で光沢があり、中央は葉脈に沿って白っぽい。全草に有毒成分が含まれており、とくに鱗茎に多い。誤って食べると嘔吐や下痢などの症状が出て、死亡することもある。

    季節|9月中旬~下旬頃
    高さ|約30~50センチ
    場所|裏高尾、奥高尾
  • カヤ イチイ科
    カヤ
    カヤ イチイ科
    山地に生える常緑高木(じょうりょくこうぼく:年間を通して緑の葉をつける、高さがおおむね5メートル以上の木)。幼木(ようぼく)の樹皮は淡い灰色でなめらかだが、成木(せいぼく)になると縦に裂けて短冊状にはがれる。幹は太さ2メートルほどになり、木材はきめが細かくて耐久性に優れ、建築材から碁盤など、幅広く利用される。葉は長さ約2~3センチ、幅約2~3ミリと細長く、枝の左右に並んでつく。かたくて光沢があり、先が鋭くとがっている。イヌガヤのやわらかい葉と違って触ると痛い。開花の時期は4月から5月頃で雄株と雌株があり、前年にのびた枝の葉のわきに雄花がつき、雌花は新枝のもとにつく。実のように見える種は長さ約2~4センチの楕円形で、種のまわりを果肉のような部分が包んでおり、翌年の9月から10月頃に熟す。種はアク抜きをしてから煎ると、香ばしくておいしい。

    高さ|約20~30メートル
    場所|3~4号路、裏高尾
※高尾山公式アプリからの引用
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