動物図鑑
東京都心の近くにありながら、周辺によく見られるスギ・ヒノキなどの人工林だけでなく、自然林が広く残る高尾山。南側斜面にはカシなどの常緑広葉樹林、北側斜面にはブナなどの落葉広葉樹林が広がっています。 こうした多様な植生を餌や棲みかとして、生息が広く知られるムササビやニホンリスなど、数十種類の動物たちが暮らしており、彼らの姿を探しながら歩くのも高尾山の楽しみ方の1つです。
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2021年2月1日~2021年3月31日「高尾山に暮らすタヌキ展」
人里近くに生息する哺乳類であるタヌキ。タヌキが高尾の森で、どんなものを食べ、どのように他の生きもの達と関わり合っているのか。高尾山での暮らしを通してその生態に迫ります。 -
本州、四国、九州に分布。
青森県下北半島に棲む個体群(ある一定の範囲に生息する一種の生物の集まり)は、世界最北に生息するサルということから、「北限のサル」として有名。主に山地の森林に生息する。
高尾山にも野生のサルが生息していて、群れで山道近くに出てくることもある。
トレードマークは真っ赤な顔とお尻。通常、数頭のオスと、数十頭から数百頭にもなるメスと子の群れで生活し、1頭みかけると近くにほかのサルがいる可能性が高い。
食性は植物中心の雑食性。植物の葉や芽、果実、昆虫などを食べ、餌の少ない冬場は樹木の皮なども口にする。
口の中のほおの部分に「ほおぶくろ」と呼ばれるものがあり、食べ物をそこに入れて一時的に蓄えておくことが可能。
体長|約47~70センチ
季節|通年 -
本州の関東から西、四国、九州に分布。
冬に積雪の多い地域にはおらず、主に里山の雑木林や山地の森林に生息している。
毛色は灰褐色から薄い黒色、または茶色。
子供にはしま模様があり、「うり坊」と呼ばれる。
活動は主に夜で、突き出た鼻で地面を掘り返し、植物の根、昆虫、ミミズなどを食べる。
優れた嗅覚の持ち主で、地中に埋まった芋なども匂いをかぎわけ、探し当てる。
特異な習性として「ぬた(のた)打ち」という泥浴びがある。
水の貯まる窪地などにその場を作り、転げまわって泥を浴び、寄生虫を落とす。
高尾山の山道付近でも泥浴びをした「ぬた場」や土を掘り起こした跡を見ることができる。
体長|約140センチ前後
季節|通年 -
本州、四国、九州に分布。
主に低地から山地の森林に生息している。「むじな」の別名もあるが地方によってはタヌキをその名で呼ぶことから、混同されている場合も多い。
見た目や習性は似ているが、タヌキはイヌ科で実際はさほど近縁ではない。
また、クマとつくがクマの仲間でもない。
名前が示すように穴掘りを得意とし、頑丈な爪をもった前足で10~20メートルにもなる長いトンネルを地中に掘り、そのところどころに巣を作る。
昼間はほとんど巣穴の中で休み、夜になると活動をはじめる。
活発に野山を歩き回り、ドングリや果実、ミミズ、昆虫、カエル、カタツムリなどを食べる。
体長|約44~68センチ
季節|4~11月頃 -
本州、四国、九州に分布。
ただし、九州および中国地方では生息環境の悪化でほとんど見られなくなっている。
低山の森林に生息し、主に樹上で生活するが地上におりることも多い。
樹木の空洞状になったところや木の幹に小枝やコケなどで球状の巣を何カ所か作り、そこをねぐらにする。
活動が活発になるのは早朝と夕刻だが、日中に山道などに現れることもある。
木の実や木の芽などを食べ、冬の間の食料を確保するためにドングリなどを地中に大量に埋めて貯蔵する。
長くてふさふさした尾がよく目立ち、ドングリやクルミをもって食べる様子はとてもかわいらしい。
時に十数メートルも跳躍し、木の枝から枝へ移動することもある。
体長|約20センチ前後
季節|通年 -
本州、四国と九州の一部に分布。
平地から山地の森林に生息している。
グライダーのように滑空(かっくう)する哺乳類としてよく知られている。
体を囲むようにある飛膜という膜状のひだをいっぱいに広げて木から木へと飛び移りながら、主食の木の葉や木の芽、花や種子などを食べていく。
100メートルを超えるような見事な飛行をみせるほど、その滑空能力は高い。
生活はほぼ樹上で、大きな木の樹洞(じゅどう:樹木の中の空洞)やところどころにある隙間などに巣を作り、昼間はそこで過ごし、日が暮れると食べ物を求めて活動を開始する。
高尾山では薬王院周辺で見ることができ、ガイド付きの観察ツアーなども組まれている。
体長|約34~50センチ
季節|通年鳴き声を聞く
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本州、四国、九州に分布。主に山地の森林を生息地としている。
クリクリとした眼が印象的で、ムササビと同じく飛膜を広げて
滑空(かっくう)することができる。
その飛距離は通常20~30メートルほどだが、ときに100メートルを超えることがあり、滑空能力はムササビにも負けない。
生活はほぼ一生を樹上で過ごす。
樹洞(じゅどう:樹木の中の空洞)やキツツキの古巣、鳥の巣箱などに巣を作り、昼間は主にそこで休息している。
夜になると活動を始め、木から木へ飛び移りながら、木の葉や木の芽、果実、種子、樹皮などを食べる。
ムササビよりもずっと小柄で、ムササビのほうが体長で約2倍、体重は10倍ほども大きい。
体長|約14~20センチ
季節|通年 -
北海道から九州全域にまで分布。
ヒメネズミとともにほぼ日本全国の野山に生息している日本固有の野ネズミ。
ヒメネズミは樹上でも生活するが、アカネズミはほぼ完全に地上で生活し、樹上に登ることはない。地中にトンネルを掘り、そこに巣を作って、地表に落ちた植物の種子や根茎(こんけい)、小型の昆虫などを食べて生活している。
また、巣穴にドングリなどの木の実や種子を、通常食べる量の数十倍以上も貯蔵する習性がある。
名前のとおり、毛色は赤褐色。
クリクリした目と大きな耳が印象的だが、夜行性なので見かけることは難しい。
後足の筋肉がよく発達しており、1日で数キロも移動することが可能。
体長|約8~14センチ
季節|通年 -
北海道、本州、四国、九州、佐渡島、三宅島、屋久島など日本のほぼ全域に分布している。
低地から高山帯までの森林を主な棲みかにしている日本の代表的な野ネズミ。
アカネズミによく似ているが、アカネズミに比べて小型で、頭胴長(頭と胴体を合わせた長さ)より尾が長いという体型の違いがある。
また、アカネズミが地表で生活するのに対し、体重が軽く、柔軟な尾と細い足指をもつヒメネズミは樹上での活動の割合が多い。
長い尾でバランスをとって、つるや細い枝の上でも素早く動くことができる。
地上10メートルぐらいまでを活動域とする半樹上性で、樹上に巣を作ることもある。
ドングリや種子、昆虫などを主食にしている。
体長|約6~10センチ
季節|通年 -
本州では新潟・福島県以南、及び九州、四国、隠岐島後に分布する日本固有種。
大きな山塊につながった低地から高山帯まで分布する。
高尾山ではケーブルカー高尾山駅や1号路の標高350m付近の樹林で記録がある。
毛色は背面が赤褐色から黄褐色で、腹面は淡黄色から橙色をしている。
岩場に生える草や木の実を主食とする。
小さな目と耳、比較的短い尾は地下生活に適応しており、半地下棲(地上と地中の両方で活動すること)で、森林の地面に浅いトンネルを掘ったり、岩の隙間を利用し、その奥に枯草などで巣をつくる。
体長|約7~11センチ
季節|通年 -
東北から静岡、長野、石川各県あたりまでの本州と、京都、広島、四国、紀伊半島の一部に分布。
低地の野原や農耕地から山地の森林などに生息している。
モグラの得意なことといえば、やはり穴掘りであり、非常に発達した前足で土を掘り、地中にトンネル網を張り巡らす。
体型は穴の中での生活に適した円筒型で、体表は泥などが付着しにくいビロード状の毛でおおわれている。
定期的にトンネル内をパトロールして、ミミズやムカデ、昆虫の幼虫などを鋭い嗅覚でかぎ分け、捕まえて食べる。穴を掘った際に出た土が山のように積もった「モグラ塚」は高尾山でもよく見ることができる。
体長|約12~16センチ
季節|通年 -
本州、四国、九州、淡路島、五島列島などに分布。
ほかのモグラ類の多い平地よりも、丘陵地や山地の樹林や草原を生息場所とするものが多い。
和名は日の当たる場所に出ないことを意味する「不日見(ひみず)」からきているが、実際には地上で活動することも多い半地下性の動物である。
アズマモグラなどに比べ、尾が長いのが特徴。また、前足が小さく穴を掘る力も弱いので、落葉層や腐植層(分解された植物が堆積している部分)などの地中の浅いところを主な生活の場所としている。
そこにトンネルを掘って暮らすが、夜間には地表にも出て活動する。
ミミズ、クモ、昆虫などを主食としているが、果実や種子など植物性のものも食べる。
体長|約8~11センチ
季節|通年 -
北海道を除く日本各地に分布。
中国や朝鮮半島、台湾にも分布している。
東京の都心でも夕闇迫るころ、不規則に方向を変えながら飛ぶコウモリの姿を見るが、それはほぼアブラコウモリといっていい。
別名「イエコウモリ」が示すように、数十頭単位の集団で民家の天井裏などに棲みつく。
都市部では線路の橋げたの少しの隙間や道路の高架下などが絶好のすみかとなっている。
夜行性で、まだ薄明かりの残る夕刻から活動し始め、河原や草むらなどを目指し、蚊などの小型昆虫を捕食する。
また、オスとメスで寿命に違いがあり、オスは1年ほどであることが多く、メスは6年程度といわれている。
体長|約4~6センチ
季節|4~10月頃