昆虫図鑑
数千種類の昆虫が棲み、箕面山(大阪)、貴船山(京都)と並び日本三大昆虫生息地に数えられる高尾山は、その種の多様さと都心からのアクセスの良さも重なって、古くから昆虫研究のフィールドとして愛されてきました。こうした経緯から、高尾山で初めて発見された種も多く、タカオシャチホコやタカオメダカカミキリなど、高尾山の名を冠に持つ昆虫も存在しています。
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北海道、本州、四国、九州に分布。平地から山地の森林ややぶなどに生息し、なかでも幼虫がササ類を主食とすることから、クマザサやミヤコザサなどが生い茂る竹やぶでよくみることができる。翅(はね)は黒褐色で胴体に近い部分は黄褐色。ところどころに白い点が入る。裏側は黄褐色で翅脈(しみゃく:翅にある脈状のすじ)が黒くうかび、ところどころに白に近い黄色の点が散らばる。動きはとてもすばやく、昼間に笹やぶや雑木林などを直線的に飛びまわりながら、ヒヨドリバナやアザミ類などの花の蜜を吸う。動物のフンにもよく集まる。よく水を吸い、集団で吸水することも多い。オスは縄張りを持つ。
翅開張(しかいちょう)【前翅(ぜんし:二対ある翅のうち前方にあるもの)を広げた左右の長さ】|約30~36ミリ
成虫の出現期|5~9月頃 -
北海道の南部、本州、四国、九州、種子島や屋久島などの島々に分布。低山から丘陵地、山地の林の周辺や草地などの日当たりのよい場所に生息している。名前のとおりに、褐色の 翅(はね)に黄色いまだら模様があるのが特徴。表側と裏側はあまり違いがないように見えるが、裏側は全体に黄褐色で模様はあまりはっきりしていない。夏を迎えるころに姿を見せはじめ、雑木林や草地でヒメジョオンやノアザミなどの花の蜜を求めて飛びまわる。地表で吸水(水を吸うこと)することもある。
幼虫はススキ、ジュズダマ、アズマネザサなどのイネ科植物の葉を食べる。翅の先端が、オスでは鋭角なのに対し、メスは丸みがある。
翅開張(しかいちょう)【前翅(ぜんし:二対ある翅のうち前方にあるもの)を広げた左右の長さ】|約26~32ミリ
成虫の出現期|6~9月頃 -
本州、四国、九州に分布。低山地から山地の林や高原、林道沿いなどに生息する。名前の「ヒメ」は小さいことを表す場合が多いが、本種はキマダラセセリとさほど大きさに違いはない。翅(はね)にある黒褐色の縁どりの内側が赤みがかった黄色であり、まだらというより網目模様に近いことでキマダラセセリと区別できる。メスは翅全体が暗褐色で、ところどころに黄色い斑点がある。裏側はオスもメスもだいだい色から淡い黄褐色で、翅脈(しみゃく:翅にある脈状のすじ)に沿ったすじ模様がある。日中に樹林内の比較的低いところをすばやく飛んでいることが多い。ヒメジョオンやアザミなどの蜜を好む。幼虫はチヂミザサ、ヤマカモジグサ、アシボソなどのイネ科植物の葉を食べる。
翅開張(しかいちょう)【前翅(ぜんし:二対ある翅のうち前方にあるもの)を広げた左右の長さ】|約25~30ミリ
成虫の出現期|5~9月頃 -
北海道南部の一部、本州、四国、九州に分布。平地から低山地の樹林を主な生息地域にする。春から初秋にかけて現われ、日中、樹木の茂る林の中をすばやく飛びまわる姿がよく見られる。前翅の中心に大きな白い点が3点ほどあるのが特徴で、先端付近にも細かい白い点が並ぶ。また、地方によって翅(はね)の模様に違いがあり、近畿より西の地域に生息するものは後翅(こうし:二対ある翅のうち後方にあるもの)にも白い点が並び、前翅と模様がつらなり帯状にみえるものが多い。主にヒメジョオンやアザミなどの花の蜜を吸い、動物のフンにも集まり、吸水(水を吸うこと)をする。幼虫はヤマノイモの葉などを食べる。オスは縄張りを持ち、その空間を占有する習性がある。
翅開張(しかいちょう)【前翅(ぜんし:二対ある翅のうち前方にあるもの)を広げた左右の長さ】|約33~36ミリ
成虫の出現期|4~10月頃 -
北海道、本州、四国、九州に分布。低地から山地の落葉広葉樹林や開けた雑木林などに生息し、比較的日当たりのいい場所を好む。翅(はね)は茶褐色で、前翅には波状の複雑な模様が現れ、オスでは紫灰色、メスは明るい白帯状の模様となる。後翅(こうし:二対ある翅のうち後方にあるもの)には、表と裏の両面に黄色い斑点が散らばる。日中、森林の中を飛びまわりながら、スミレやタンポポなどの花々の蜜を吸う。翅を開いた形で、地表で日光浴をすることもよくある。姿を見られるのは3月から4月頃までと短い。幼虫はクヌギ、コナラ、カシワなどの葉を食べる。
翅開張(しかいちょう)【前翅(ぜんし:二対ある翅のうち前方にあるもの)を広げた左右の長さ】|約36~40ミリ
成虫の出現期|3~4月頃 -
東北南部より西の本州、四国、九州に分布。平地から低山地の森林や草地を主なすみかとする。翅(はね)の地色は黒褐色で胴体に近い部分は黄褐色になり、前翅の表側のところどころに白い点が比較的大きく入っている。裏は全体が黄褐色で、黒いふちのある白点が多数あり、他種と判別するポイントとなる。オカトラノオやヒメジョオンなどの蜜を吸い、日中飛びまわりながら、それらの花々に集まる。水気を含んだ場所で吸水(水を吸うこと)する。幼虫はオオアブラススキやカリヤスなどのイネ科植物の葉を食べる。
翅開張(しかいちょう)【前翅(ぜんし:二対ある翅のうち前方にあるもの)を広げた左右の長さ】|約32~37ミリ
成虫の出現期|6~8月頃 -
北海道、本州、四国、九州と、対馬、屋久島に分布。平地から山地の雑木林や樹林に生息する。大きなものは約15センチにもなり、本州にいるガのなかでは最大級。山地に多く見られ、昔はヤママユのまゆから絹糸をとっていたことからこの名がある。翅(はね)は赤褐色や黄土色など個体差が大きく、先端から外縁に沿った暗褐色の長い線が入る。中心付近には 眼状紋 (がんじょうもん :眼のように見える模様)がある。オスとメスで触角の形が違い、オスは羽毛のような形で、メスはややすき間があり櫛(くし)の歯のようになっている。夜間に活動し、灯火によくやってくる。成虫は一切食べ物を口にせず、幼虫のときに蓄えた栄養で生きる。幼虫の食草はクヌギやコナラなど。まゆはカイコガのものに似るが、うすい緑色をしている。
翅開張(しかいちょう)【前翅(ぜんし:二対ある翅のうち前方にあるもの)を広げた左右の長さ】|約110~150ミリ
成虫の出現期|8~9月頃 -
北海道、本州、四国、九州と、対馬、屋久島に分布。低山地から山地の樹林や雑木林に生息する。名前のとおり、ヤママユよりもひとまわり小さい。翅(はね)の色は全体がくすんだ緑色で、前翅(ぜんし:二対ある翅のうち前方にあるもの)前半部は白い。縁は茶褐色に染まり、それぞれの翅の中央付近に大きな 眼状紋(がんじょうもん:眼のように見える模様)がある。縁が赤褐色に染まるものや、地色がかなり明るい黄褐色のものもいる。ヤママユよりも遅い時期に姿を現し、夜間に活動する。成虫はほかのヤママユガの仲間同様に食べ物を口にすることはない。幼虫はクヌギ、ウツギ、ケヤキなどの葉を食べる。
翅開張(しかいちょう)【前翅(ぜんし:二対ある翅のうち前方にあるもの)を広げた左右の長さ】|約85~105ミリ
成虫の出現期|9~11月頃 -
北海道、本州、四国、九州と、対馬、屋久島などに分布。平地から山地にかけての森林や雑木林に生息。名前は楠蚕(くすさん)で、クスノキにつく蚕(かいこ)を意味する。体色は黄褐色や赤褐色、だいだい色など個体差が激しい。後翅(こうし:二対ある 翅(はね )のうち後方にあるもの)中央にはくっきりとした眼状紋(がんじょうもん:眼のように見える模様)があるが、前翅 (ぜんし:二対ある翅のうち前方にあるもの)では不明瞭(ふめいりょう)。前翅の先端部にはトカゲの横顔を思わせる模様がある。夜間にヤママユなどとともに灯火に集まり、日中はその近くの軒下などで休んでいることがある。幼虫は緑色で、白く長い毛があり「白髪太郎」の名がある。クスノキ、ケヤキ、イチョウなどの葉を食べる。まゆは網かごのようにすきまだらけで、「すかし俵(だわら)」と呼ばれ、成虫が出たあとの空(から)のまゆが林道沿いの草むらによく落ちている。
翅開張 (しかいちょう )【前の翅(はね)を広げた左右の長さ】|約100~120ミリ
季節|8~10月頃 -
北海道、本州、四国、九州と、対馬、屋久島に分布。平地から山地の森林や高原などに生息する。翅(はね)は青白色からうすい緑色をしており、前翅(ぜんし:二対ある翅のうち前方にあるもの)の前の縁が紅色に縁どられている。前翅、後翅(こうし:二対ある翅のうち後方にあるもの)ともに中央付近に小さな 眼状紋(がんじょうもん:眼のように見える模様)を持つ。オスの触角は羽毛のような形でメスはややすき間があり櫛(くし)の歯のようになっている。 尾状突起 (びじょうとっき:後翅の下方に突き出た突起)はオスの方がいくらか長いが、メスはそれほど長くない。成虫の発生時期は、初夏と真夏の7~8月頃の年2回。灯火によく集まる。成虫は口が退化して物を食べず、幼虫のとき蓄えた栄養で生きる。幼虫はコナラ、ウメ、アンズ、ザクロ、ナシ、リンゴなどさまざまな樹木の葉を食べる。
翅開張(しかいちょう)【前翅(ぜんし:二対ある翅のうち前方にあるもの)を広げた左右の長さ】|約80~120ミリ
成虫の出現期|4~5月頃、7~8月頃 -
北海道、本州、四国、九州に分布。低山地から山地の樹林や緑地に生息する。前翅(ぜんし:二対ある翅のうち前方にあるもの)は灰褐色で濃淡のある複雑な模様があり、樹皮とそっくりだが、 後翅(こうし:二対ある翅(はね)のうち後方にあるもの)は白で、太い黒帯が2本入る。翅を閉じると後翅は見えなくなり、樹皮にとまっていると保護色となって見つけるのは難しい。刺激を受けると前翅を広げて目立つ後翅を出すが、これには外敵を驚かす効果があるとされる。日中は大木などの側面や枝にとまって休んでいることが多い。夜になると動き出して、さまざまな樹木に飛来して樹液を吸う。幼虫はバラ科のウワミズザクラの葉を食べる。
翅開張(しかいちょう)【前翅(ぜんし:二対ある翅のうち前方にあるもの)を広げた左右の長さ】|約80~95ミリ
成虫の出現期|7~10月頃 -
北海道、本州、四国、九州と、伊豆諸島、対馬、南西諸島などに分布。平地から低山地の雑木林や緑地に生息する。 翅(はね)は灰色から茶褐色で、樹皮のような模様をしており、木にとまっているとほとんど見分けがつかない。このようなガは多いが、模様が対称になっている部分や不自然な盛り上がりなどに気づくと、見つけられるようになる。大型のシャクガで、早春の3月ごろから4月ごろにかけて姿を現し、オスは灯火にもよく飛来する。幼虫はいわゆる「尺取り虫」で、こちらも木の枝にそっくりである。リンゴ、ナシ、ツバキ、クリ、クヌギ、コナラなど、多様な植物の葉を食べる。
翅開張(しかいちょう)【前翅(ぜんし:二対ある翅のうち前方にあるもの)を広げた左右の長さ】|約40~75ミリ
成虫の出現期|3~4月頃 -
北海道、本州、四国、九州、沖縄に分布。平地から山地の雑木林やその周辺の緑地に生息する。冬場に活動する数少ない昆虫で、成虫は晩秋から厳寒期の1月ぐらいまで姿を見せる。名前にもあるように前翅(ぜんし:二対ある翅(はね)のうち前方にあるもの)は茶褐色から黄褐色で、暗褐色の帯が入る。よく似たオオチャバネフユシャクは、この帯が大きく曲がっているので区別できる。後翅(こうし:二対ある翅のうち後方にあるもの)は前翅よりもややうすい褐色をしている。メスは体長11~15ミリほどで、翅を持っておらず、長く丈夫な脚で歩いて活動する。カメムシの幼虫を思わせる体型で、白地に黒い斑点が散らばる。幼虫はコナラ、ポプラ、ヤナギ、バラ、ツツジなど多くの植物の葉を食べる。
翅開張(しかいちょう)【前翅(ぜんし:二対ある翅のうち前方にあるもの)を広げた左右の長さ】|約34~45ミリ
成虫の出現期|11~1月頃 -
北海道、本州、四国、九州と、南西諸島などに分布。日本全国で見られるガで、平地から山地の林周辺や草むらに生息する。高尾山でも山道脇の葉の上などでよく見られる。翅(はね)は白色で、前翅(ぜんし:二対ある翅のうち前方にあるもの)に褐色の帯が2本並び、全体に細かい引っかき傷のような模様が散らばる。よく似たシロツバメエダシャクでは、帯の間にこの模様がなく真っ白なので見分ける目安となる。尖った尾状突起(びじょうとっき:後ろの翅の下方に突き出た突起)を持ち、その付近に赤茶色の斑点が2つ入る。メスの方がひとまわり大きい。初夏から秋にかけて出現し、さまざまな花にとまって蜜を吸う。幼虫はブナ科、ニレ科、マメ科、スイカズラ科など、さまざまな植物の葉を食べる。
翅開張(しかいちょう)【前翅(ぜんし:二対ある翅のうち前方にあるもの)を広げた左右の長さ】|約36~59ミリ
成虫の出現期|5~10月頃 -
北海道、本州、四国、九州と、御蔵島に分布。低山地から山地の森林や緑地、沢沿いの林道などに生息する。3センチに満たない小さなガで、少し湿気のある日陰の多い場所や水辺の脇の草地などにいることが多い。翅(はね)は黒色で中央部に白い帯が入る。個体差はあるが、翅の縁やつけねなどにも白い点やすじ模様がある。昼間に活動し、ひらひらと飛びまわるので、チョウだと思われることが多い。成虫が発生するのは初夏と真夏の2回。さまざまな花を訪れ、蜜を吸う。幼虫の食草はヤマアジサイの葉。
翅開張(しかいちょう)【前翅(ぜんし:二対ある翅のうち前方にあるもの)を広げた左右の長さ】|約20~26ミリ
成虫の出現期|5月頃、7~8月頃 -
北海道、本州、四国、九州と、対馬に分布。平地から低山地の雑木林や緑地、野原などに生息する。翅(はね)は黒く、透明な部分が斑点のように散らばっていて、それが鹿の子模様に見えることからこの名がついた。翅は細長く、体色も黒地に黄色の帯を持つため、ハチの仲間のように見える。オスよりもメスの方が、腹部が太い。姿を見せるのは初夏から秋口まで。
活動をするのは昼間で、さまざまな花の蜜を吸う。幼虫は真っ黒な毛虫で、シロツメクサ、タンポポ類、ギシギシなど河川敷や野原に生えている多くの植物を食べる。
翅開張(しかいちょう)【前翅(ぜんし:二対ある翅のうち前方にあるもの)を広げた左右の長さ】|約30~37ミリ
成虫の出現期|6~9月頃 -
北海道、本州、四国、九州と、佐渡島、対馬、千島列島などの島に分布。平地から山地の雑木林やその周辺の草地、野原などに生息する。翅(はね)は黒色で、前翅(ぜんし:二対ある翅のうち前方にあるもの)に1つ、後翅(こうし:二対ある翅のうち後方にあるもの)に2つの角ばった白い斑が横に並んでいて、窓のように見えるため「窓蛾」の名を持つ。翅全体に黄色の斑点がいくつも散らばる。頭部と胸部背面にも黄色の部分があり、セセリチョウの仲間のような雰囲気ももつ。春先から夏にかけてごく普通に見られ、高尾山でも山道や林道わきの草むらによくいる。活動するのは日中で、林や草地を飛びまわり、さまざまな花の蜜を吸う。幼虫はボタンヅルなどの植物の葉を食べる。
翅開張(しかいちょう)【前翅(ぜんし:二対ある翅のうち前方にあるもの)を広げた左右の長さ】|約14~17ミリ
成虫の出現期|4~9月頃 -
北海道、本州、四国、九州と、佐渡島、対馬などの島に分布。低山地から山地の雑木林や緑地に生息する。光の当たる角度で金色から赤銅色にかわる金属的な光沢のある 翅(はね)をもつ。前翅(ぜんし:二対ある翅のうち前方にあるもの)の下部には黄金色の帯が1本、横に入っており、見た目にはあまりガと思えない。名前のとおりに長い触角を持っているのが大きな特徴で、その長さはオスで前翅の3倍もある。メスは前翅の1.2倍程度で半分ほどが羽状で黒い。初夏に姿を現し、日中に活動して花の蜜を吸う。ちょっとした原っぱや草むらなどで見ることができ、オスは林内を群れで飛びまわる。
翅開張(しかいちょう)【前翅(ぜんし:二対ある翅のうち前方にあるもの)を広げた左右の長さ】|約15~22ミリ
成虫の出現期|4~5月頃 -
北海道、本州、四国、九州と、対馬に分布。平地から山地の林や草地に生息する。ガの仲間だが、食草由来の毒をもつジャコウアゲハに 擬態(ぎたい:生物が、身を守るためや、補食のために他の生物の体色や体型などを真似ること)していることからこの名がある。翅脈(しみゃく:翅にある脈状の筋)が黒く浮かび上がった灰黒色の翅(はね)は実際にジャコウアゲハに似ており、立派な尾状突起(びじょうとっき:後ろの翅の下方に突き出た突起)もあるが、後翅(こうし:二対ある翅のうち後方にあるもの)の縁にある赤い斑点はより鮮やかで、サイズもはるかに小さいなど違いもある。活動は夕方に活発となり、灯火にも集まるが、昼間も葉の上などで見られる。野原や雑木林などをひらひらと飛びまわり、いろいろな花の蜜を吸う。幼虫は白い綿のようなものに全身をおおわれていて、ヤマボウシやミズキなどの葉を食べる。
翅開張(しかいちょう)【前翅(ぜんし:二対ある翅のうち前方にあるもの)を広げた左右の長さ】|約55~60ミリ
成虫の出現期|5~8月頃 -
本州、四国、九州に分布。平地から山地の雑木林や緑地などに生息する。山林から都心部の公園などでふつうに見ることができる。翅(はね)の地色は黒で淡い黄色の斑紋がいくつも入り、日中に活動することもあってチョウだと思われることが多い。斑紋の大きさや形には個体差がある。成虫が発生するのは5〜6月頃と8〜9月頃で、さまざまな花を訪れ、蜜を吸う。幼虫はリョウブの葉を食べる。体表が白い粉のようなものでおおわれており、まゆにもこの粉がついている。
※ここでは、「斑点」は点状の模様、「斑紋」はある程度大きな模様を指しています。
翅開張(しかいちょう)【前翅(ぜんし:二対ある翅のうち前方にあるもの)を広げた左右の長さ】|約32~39ミリ
成虫の出現期|5〜6月頃、8〜9月頃 -
本州、四国、九州と、対馬、屋久島などに分布。平地から山地の日当たりのいい雑木林や沢沿いの林道などに生息する。金属的な光沢のある青緑色に鮮やかな赤が混じり、タマムシと並ぶ美しい昆虫として知られる。大きな 複眼(ふくがん:小さな眼が多数集まって、ひとつの大きな眼を形成したもの)と牙(きば)のような大あごがよく目立つ。小さな昆虫などを餌とし、獲物をねらってすばやく捕らえる姿が猫を思わせることから「斑猫(はんみょう)」の名がある。人が近づくと飛び立ち、数メートル先に着地することを繰り返すのが、道を先導するように見えることから「道教え」とも呼ばれる。幼虫は地面に穴を作り、そこに近づいてくるアリなどの小型昆虫を捕らえて食べる。
体長|約18~20ミリ
成虫の出現期|4~9月頃 -
北海道、本州、四国、九州と、五島列島、屋久島、種子島などに分布。平地から山地の森林や、湿度の高い草地などに生息する。日本だけに棲むオサムシの仲間で、成虫も幼虫もマイマイ(カタツムリ)を主な餌とし、殻の中に頭部をつっこんでいる食べる姿から、「マイマイかぶり」と名付けられた。翅(はね)が退化していて飛ぶことができず、長距離移動をしないので、生息地域ごとに体色や体型に違いが見られ、同じ種類のなかでもそれぞれの地域集団が亜種として分類されている。高尾山で見られるのは、関東から中部地方に分布するヒメマイマイカブリという亜種になり、体色は全体に青みがかった黒色をしている。
体長|約36~41ミリ(ヒメマイマイカブリ)
季節|4~10月頃 -
中部以北の本州に分布。平地から山地の雑木林や緑地に生息する。関東ではもっともよく見られるオサムシのひとつで、名前のとおり金属的な光沢のある緑色をした美しい種類だが、赤銅色の個体もいる。上翅(じょうし:甲虫類の二対の翅(はね)のうち、背部を覆う硬い翅)には細かいすじが多数入る。多くのオサムシ類と同様に後翅(こうし:甲虫類の二対の翅のうち、上翅の下に折りたたまれているやわらかい翅)は退化していて飛ぶことはできない。あまり日当たりのいい場所は好まず、昼間はほとんど落ち葉の下や土中、倒木の下などに潜んでいる。夜に活発となり、地表を歩きまわってミミズやガの幼虫、ダンゴムシなどを捕えて食べる。また小動物の死骸にも集まることも多い。幼虫も肉食で小型の昆虫を食べる。
体長|約25~30ミリ
成虫の出現期|4~10月頃 -
北海道から本州の中部にかけて分布するクロオサムシの、関東から新潟にかけて生息する亜種(あしゅ:同じ種類のなかで、地理的な隔離により、集団として違いが認められるもの)。東京近郊ではアオオサムシと並んでよく見られるオサムシの仲間。平地から山地の森林やその周辺の緑地などに生息する。体色は金属的な光沢のある赤銅色だが、緑色の光沢をもつ個体や、まれに光沢のない個体もいる。上翅(じょうし:甲虫類の二対の翅(はね)のうち、背部をおおうかたい翅)には細いすじがいくつも入っていて、後翅(こうし:甲虫類の二対の翅のうち、上翅の下に折りたたまれているやわらかい翅)は退化して飛翔(ひしょう)することはできない。昼間は木の陰や落ち葉の下などに隠れていることが多いが、日の射さない薄暗い場所などでは活動する。本格的に動き出すのは夜で、地表を歩き回りながら小型の昆虫やダンゴムシ、ミミズなどを捕えて食べる。
体長|約20~23ミリ
成虫の出現期|4~10月頃 -
北海道、本州、四国、九州、沖縄と、宮古島、石垣島などに分布。平地から低山地の雑木林やその周辺の緑地などに生息する。農作物の畑や河川沿いの河原などでも見られる。名前のとおり、上翅(じょうし:甲虫類の二対の翅(はね)のうち、背部をおおうかたい翅)の後方に一対の黄褐色の斑紋がある。頭部と胸部は光沢のある青緑色で、上翅はやや銅色がかっている。背面は金色の細い毛におおわれており、あまり光沢は目立たない。日中に地表を歩き回りながら、ガやハエの幼虫などの小さな昆虫や、動物の死骸を食べ、幼虫もほぼ同様の食性をもつ。灯火にも飛来する。
※ここでは、「斑点」は点状の模様、「斑紋」はある程度大きな模様を指しています。
体長|約15~18ミリ
成虫の出現期|5~10月頃 -
北海道、本州、四国、九州と、伊豆諸島、佐渡島、対馬、屋久島などに分布。平地から山地の森林や雑木林などに生息する。高尾山でも比較的よく見かけられるクワガタで、初夏から秋まで見ることができる。小型だが、大きな個体になるとそれなりに見栄えのする大あごを持つ。日中も活動するが、樹洞(じゅどう:樹の中の空洞部分)や木の根元の隙間などに潜んでいることが多く、本格的に活動を始めるのは日没後。コナラやクヌギなどの樹液を求め、それらの木々にやってくる。体が小さいので大型のクワガタが入れないような、樹皮下のちょっとした隙間などにも潜りこんで樹液を吸う。
全長(大あごを含む)|約20~55ミリ
成虫の出現期|6~9月頃 -
北海道、本州、四国、九州に分布。平地から山地のやや標高の高いところにある森林や雑木林をすみかにしている。スジクワガタというが、すじ模様があるのは小型のオスとメスのみで、上翅(じょうし:甲虫類の二対の翅(はね)のうち、背部をおおうかたい翅)に木目のような縦のすじがいくつも入っている。大型のオスにはすじがなく、コクワガタのオスと区別がつきにくいが、見分けるポイントとして、大あごの内側にある突起が、コクワガタが三角形でスジクワガタは四角ばっている、という違いがある。主にクヌギやコナラ、ヤナギなどの樹液を餌にしており、灯火(とうか)にもよく集まる。幼虫はクヌギやコナラの朽ち木(くちき)のなかで育つ。
全長|約15~30ミリ
成虫の出現期|6~9月頃 -
北海道、本州、四国、九州と、佐渡島、対馬、屋久島などに分布。低地を中心にした雑木林に生息している。暗褐色から赤褐色をした体色と中央で湾曲した大あごで、子供たちに人気が高い。ただ、オスは個体差があり、小型のものはまっすぐな小さなあごでとどまる。昼間は樹上の比較的高い場所で休んでいることが多く、夜になると動き出し、餌となる樹液を求めて、クヌギ、ヤナギ類、コナラなどの木に飛来する。クワガタ類のなかには越冬するものも多いが、ノコギリクワガタは多くがカブトムシと同様に、ひと夏を過ぎると死んでしまう。
全長|約25~75ミリ
成虫の出現期|6~8月頃 -
北海道、本州、四国、九州と、佐渡島、隠岐などの島に分布。平地から山地の雑木林やブナ林をすみかにしている。いかつい姿で人気が高いが、コクワガタやノコギリクワガタに比べると生息地が限られる。大きな特徴は、頭部背面に張り出している突起。これは大あごと同様に大型になるほど明確に発達し、小型の個体にはまったくないものもいる。体色は黒褐色から赤褐色で、体表には金色の短い毛が生えている。メスは全身が黒褐色。昼間もわりとよく活動するが、夜の方が活発で、クヌギやコナラなどの木に飛来して樹液をなめる。
全長|約30~80ミリ
成虫の出現期|7~8月頃 -
本州、四国、九州に分布。オスは立派な角を持ち、「日本の昆虫の王様」といわれるように、今も昔も子供たちに圧倒的な人気がある昆虫だが、実際は日本のみならず朝鮮半島や中国、インドシナ半島の北部などにも生息している。主なすみかは平地から山地の森林や雑木林。日没後に活発に飛翔(ひしょう)してクヌギやナラなどの樹液に集まる。脚の先端には鋭い爪(つめ)があり、大きな体を支えながら垂直な木の幹にしっかりとしがみつくことができる。角と頑丈な体で樹液に集まるほかの虫たちを相手にしない。土中に産みつけられた卵からかえった幼虫はその年のうちに終齢(さなぎになる前の段階)にまで成長し、翌年に羽化(うか:成虫になるための最後の脱皮)した成虫は2~3カ月ほどで命を終えてしまう。
全長(角を含む)|約30~50ミリ
季節|6~8月頃 -
本州、四国、九州と、佐渡島、伊豆諸島、五島列島、屋久島などに分布。主に低地の雑木林や森林に生息している。高尾山でも山道や林道でよく見ることができる。都心部でも公園や街路樹のあるところではふつうに見られる。扁平気味な体型と四角い頭が特徴。体色は銅色からほぼグリーンに近いものまでかなり個体差があるが、いずれも独特の輝きを放ち、非常に美しい。クヌギ、コナラ、ヤナギなどの樹液を好み、日中からこれらの木々に集まる。飛翔能力が高く、上翅(じょうし:甲虫類の二対の翅(はね)のうち、背部をおおうかたい翅)を開かずに後翅(こうし:甲虫類の二対の翅のうち、上翅の下に折りたたまれているやわらかい翅)だけを広げて飛ぶ。
体長|約22~30ミリ
成虫の出現期|7~8月頃 -
本州、四国、九州と、佐渡島、種子島、屋久島などに分布。低地から山地までの雑木林や森林に生息している。クヌギ、コナラ、ヤナギなどの広葉樹の樹液をなめる。7~8月の夏の短い期間に、樹液を求め、クワガタやカブトムシ、ハチなどとともに集まっている姿を見ることができる。大きさや生態などはカナブンとほとんど変わらない。カナブンは個体によってかなり色彩に違いがあるが、アオカナブンはすべてが深みのあるメタリックグリーンをしている。また、高尾山では見かける機会は少ないが、全身真っ黒のクロカナブンという種類もいる。カナブンと異なり、アオカナブンとクロカナブンは都心部などではほとんど見られない。
体長|約22~30ミリ
成虫の出現期|7~8月頃 -
本州に分布。低山地から山地の緑地や草むらなどに生息する。初夏から夏にかけての短い期間にしか見ることができないハナムグリの仲間。背面にカラフルな大柄の模様を持ち、昆虫好きには人気が高い。これはオスの特徴で、メスは黒い体色に白の模様が入り、同種とは思えないほど雰囲気が異なる。また、触角も先が3つに分かれた独特の形をしている。山道に茂った草木の葉や花の上などで見ることができる。昼間からよくとびまわりながら、さまざまな花を訪れて花粉を食べる。幼虫は朽ち木(くちき)を食べて育つ。
●体長/約12~16ミリ
●成虫の出現期/6~8月頃 -
北海道、本州、四国、九州と、対馬、屋久島などに分布。平地から山地の緑地や草むらなどに生息するが、幼虫のときは土の中でさまざまな植物を食べ、マメ科を中心にした農作物の根を食べることもある。成虫はその新芽や葉、花などを食べる害虫として知られ、自然の環境よりもむしろ畑などでよく見かける。しばしば大量発生して農作物に被害を与えることがある。体長1センチ前後の小さなコガネムシで、体色は頭部から胸部にかけては光沢のある深い緑色、上翅(じょうし:甲虫類の二対の翅(はね)のうち、背部をおおうかたい翅)の表面は光沢のある赤褐色をしていてなかなか美しい。初夏のころから姿を現しはじめ、日中は餌になる草にとまっているものがよく見かける。
体長|約9~13ミリ
成虫の出現期|5~8月頃 -
北海道、本州、四国、九州と、対馬、屋久島などに分布。平地から山地の林や緑地のほか、農耕地や住宅地などでも見られる。多くは金属的な光沢のある黒色で、個体により紫や藍色、緑がかるものなどがいて、なかなか美しい。いわゆる「糞虫(ふんちゅう)」と呼ばれる昆虫で、動物のフンを主な餌としており、大きな羽音をたてて地上付近を飛んだり、地面を歩いたりしてフンを探す。メスはフンを土のなかに運び込んで固めて卵を産みつけ、卵からふ化した幼虫はそのフンを食べて成長する。高尾山の山道ではふつうに見られる。
体長|約14~20ミリ
成虫の出現期|4~11月頃 -
本州、四国、九州に分布。平地から山地の雑木林やその周辺の草地、里山などに生息する。ホタルの名がつくが、発光しないベニボタルというグループの昆虫。名前のとおり、上翅(じょうし:甲虫類のニ対の翅(はね)のうち、背部をおおうかたい翅)はワインレッドのような美しい紅色をしており、黒い胸部が四角ばった形をしていることで他種と区別できる。とても見栄えのする大きな触角を持っているのも特徴で、オスはくし状、メスはノコギリのようなギザギザした形をしている。初夏の5月中旬頃から姿を現す。活動は主に日中で、飛翔して移動しながら、餌になる花々の蜜を求める。有毒とされ、目立つ体色はその警告色となっており、姿を真似た別種の昆虫も多い。
体長|約8~12ミリ
季節|5~7月頃 -
本州、四国、九州と、佐渡、対馬、屋久島、種子島などに分布。低山地から山地の森林や雑木林などに生息する。単にタマムシといった場合も、ヤマトタマムシを指すことが多く、古くから美しい昆虫として親しまれ、奈良県の法隆寺にある「玉虫厨(たまむしのずし)」はヤマトタマムシの上翅(じょうし:甲虫類の二対の翅(はね)のうち、背部をおおうかたい翅)が装飾に使われていることで知られる。体色は金属的な光沢のある緑色で、2本の赤褐色のたて帯が入る。光の当たり方によって、青や紫がかって見えることもあり、「玉虫色」という言葉の由来ともなっている。夏の短い期間に姿を現わし、日中によく活動し、エノキやケヤキなどの葉を食べる。オスはこれらの木々の周囲を飛びまわっていることが多く、メスは葉の上などにいることが多い。幼虫は枯れ木の中で木材の部分を食べて育つ。
体長|約30~40ミリ
成虫の出現期|7~8月頃 -
北海道、本州、四国、九州、沖縄などに分布。平地から低山地の雑木林や緑地などに生息する。ひっくり返しておくと、パチンと音を出してはねることで知られるコメツキムシの仲間。体表には「 鱗毛(りんもう )」と呼ばれる褐色の微細な毛が生えており、名前のとおりさびているように見える。胸部背面の中央付近に一対のコブ状の突起がある。主に林の樹上や草むらの葉の上などでよく見られる。幼虫も成虫も雑食性で、植物の葉から朽ち木(くちき)、昆虫の死骸などさまざまなものを食べる。成虫は夜間の灯火に飛来することが多い。またクヌギなどの樹液に飛来する。
体長|約12~16ミリ前後
成虫の出現期|5~8月頃 -
北海道、本州、四国、九州、沖縄と、小笠原や宮古島などの島に分布。平地から山地にかけての草原や緑地などに生息する。都心部の公園や街路樹の植え込みなどでもよく見られ、日本人にとって最もなじみのある昆虫のひとつ。名前のとおりに、つやのある赤い上翅(じょうし:甲虫類の二対の翅(はね)のうち、背部をおおうかたい翅)に大きな黒い点が7つある。春先から秋口まで姿を見ることができる。肉食性で、主に植物につくアブラムシを食べることもよく知られる。危険を感じると、脚の関節から臭いのある黄色い液体を出して身を守る。幼虫も同様にアブラムシを食べるが成虫と異なる毛虫のような姿をしている。
体長|約5~8ミリ
成虫の出現期|3~11月頃 -
北海道、本州、四国、九州に分布。平地から山地の雑木林や緑地、谷川の渓谷沿いなどに生息する。日本産テントウムシの最大種で、1センチを超える個体は、テントウムシらしからぬ印象を与える。上翅(じょうし:甲虫類の二対の翅(はね)のうち、背部をおおうかたい翅)は光沢があり、赤と黒の入り組んだ模様が並ぶ。これをカメの甲らの様子に見立てたのが、和名の由来とされる。春から秋まで見られるテントウムシで、成虫・幼虫ともに、主にオニグルミやサワグルミにつくクルミハムシやドロノキハムシ、ヤナギ類につくヤナギハムシなどの幼虫を食べる。ほかの多くのテントウムシと同様に、危険を感じると脚の部分から臭いのある液を出す。冬を迎えるころになると、樹皮の隙間や岩の陰に集まり、越冬する。
体長|約8~12ミリ
季節|4~10月頃 -
本州、四国、九州と、対馬、佐渡などの島に分布。低地から山地の雑木林などに生息する。光沢のある黒藍色をした体は胸部が細くくびれ、腹部が長く丸々と太った特徴的な体型をしている。翅(はね)は退化していて、上翅(じょうし:甲虫類の二対の翅のうち、背部をおおうかたい翅)は腹部の半分ほどの長さ、後翅(こうし:甲虫類のニ対の翅のうち、上翅の下に折りたたまれているやわらかい翅)はなく、飛ぶことはできない。地表を歩き回って活動し、植物の葉を食べる。オスは触角の中央あたりがハート型のように膨らむ。卵は土の中に産み落とされ、ふ化した幼虫は草を登って花にたどりつくと、訪れたハナバチ類の体につかまり、巣の中へ入りこむ。そこでハナバチの卵や貯蔵された花粉を食べて成長する。体液には有毒物質が含まれ、皮膚につくと炎症を起こすので注意が必要。
体長|約9~23ミリ
成虫の出現期|4~6月頃、10月頃 -
北海道、本州、四国、九州などに分布。平地から山地の雑木林などに生息する。都心の街路樹などにもよく見られ、高尾山でも山道や大きな木々の周りでよく見られる昆虫のひとつ。長い脚を持ち、木のまわりをよく歩いていることから、この和名がつけられたとされている。全身ほぼ真っ黒で、背面にはやや銅色や藍色がかった光沢がある。上翅(じょうし :甲虫類の二対の翅(はね)のうち、背部をおおうかたい翅)には浅い溝状のすじがいくつも入っている。主に木材の部分を食べるため、樹林の幹のあたりや朽ち木(くちき)、枯れ木などに集まることが多い。幼虫の餌も成虫と同じで、朽ち木、倒木、切り株などの中で木材の部分を食べて育つ。
体長|約16~20ミリ
成虫の出現期|5~8月頃 -
本州、四国、九州と、対馬、屋久島などに分布。平地から低山地の野草の生える草原や緑地、雑木林に生息する。細長い筒状をした体は、頭部から胸部、腹部に至るまで金属的な光沢のある鮮やかな緑色をしている。触角と脚はうすい黄褐色で、関節付近などは暗褐色となっている。タマムシなどと並んでメタリック系の美しい甲虫として昆虫好きに知られる。春先から初夏にかけて姿を現わし、山林に生えるコガクウツギ、リョウブなどの花の上にいることが多い。それらの蜜を主な餌としている。
体長|約9~12ミリ
成虫の出現期|4~6月頃 -
北海道、本州、四国、九州、沖縄に分布。低地から山地の雑木林やその周辺の草むらなどに生息する。畑などでもよく見かけられる。個体差はあるが、多くは上翅(じょうし:甲虫類の二対の翅(はね)のうち、背部をおおうかたい翅)の大部分が名前にあるように赤銅色をしており、それ以外の部分はメタリックグリーンとなっている。角度によって色合いが変わって見えることもあり、非常に美しい。春先から夏にかけて見られ、エビヅルなどブドウ類、トサミズキ、ハッカなどの葉を食べる。普段は、これらの植物の葉の上にいることが多い。幼虫は土の中で成虫と同じ植物の根を餌にしており、幼虫、成虫ともブドウの害虫として知られる。
体長|約5~7ミリ
成虫の出現期|5~8月頃 -
北海道、本州、四国、九州に分布。平地から山地の森林や草地、農作物の畑や河原の草むらなどに生息する。テントウムシの仲間のような色と模様を持つハムシで、頭部と胸部は光沢のある黒色、上翅(じょうし:甲虫類の二対の翅(はね)のうち、背部をおおうかたい翅)は地色が黒で、上と下に大きなオレンジ色の斑紋が並ぶ。この模様の形や色味は個体によってかなり違い、全体に大きく広がるものから一部のみ染まるものまでいる。太くて長い触角もよく目立つ。ハムシの仲間は種類によってそれぞれ異なる植物の葉を食べるが、イタドリハムシは名前にもなっているようにイタドリを好み、その葉の上で見かけることが多い。ほかにギシギシやスイバなどの葉も食べる。
※ここでは、「斑点」は点状の模様、「斑紋」はある程度大きな模様を指しています。
体長|約7~9ミリ
成虫の出現期|4~9月頃 -
本州、四国、九州、沖縄に分布。平地から山地の雑木林や緑地などに主に生息する。カメノコハムシの仲間の多くは、胸部と上翅(じょうし:甲虫類の二対の翅(はね)のうち、背部をおおうかたい翅)のふちが大きくせり出し、陣笠やヘルメットのような形をしているのが特徴で(ジンガサハムシという種類もいる)、脚や触角を完全に隠すことができる。本種は上から見るとやや四角ばっており、表面にはいくつもの凹凸がある。上翅の黒い模様は前縁と後部の4か所の縁までのびていて、手足を出した「亀の子」を思わせる。幼虫、成虫ともにボタンヅルの葉を食べる。メスは卵を産むと、そのまわりにフンを塗る習性がある。幼虫は脱皮した抜け殻を背負ったまま成長する。
体長|約4~7ミリ
成虫の出現期|5~9月頃 -
本州、四国、九州、沖縄と、対馬、屋久島などに分布。平地から山地の緑地や草むらなどに生息する。せり出した部分はほとんど半透明で、体の上からプラスチックのカバーをかけているようにも見える。翅(はね)の後方に、縁に接する黒斑が一対あり、これが腹部の暗色部分とつながって太い帯模様となり、「一」の字を思わせる。春先から姿を見せはじめ、ムラサキシキブやコムラサキ、シロシキブなどの葉を食べる。これらの葉の裏にいることが多く、幼虫も同じ植物の葉を食べる。幼虫は自分のフンや抜け殻を尾の先につけるという習性を持つ。
体長|約8~9ミリ
成虫の出現期|4~10月頃 -
北海道、本州、四国、九州と、伊豆諸島北部の島、利尻島、佐渡島、隠岐島、五島列島などに分布。平地から山地の雑木林や草原などに生息する。名前のとおり、上翅(じょうし :甲虫類の二対の翅(はね)のうち、背部をおおう硬い翅)に黄褐色から白色の4本の帯が入っている。脚は黄褐色でやや細身の体型をしており、ハチの仲間に擬態しているといわれている。
6月中旬頃から姿を見せ始める。花の花粉や蜜を餌にするハナカミキリの仲間で、アジサイ類、ノリウツギ、クリ、リョウブ、ミズキなどの花に来る。トラカミキリの仲間にもよく似た模様の種類のものがあるが、胸部が細いことで見分けがつく。幼虫はエゾマツ、アカマツなどの針葉樹のなかで木の内部を食べて成長する。
体長|約12~20ミリ
成虫の出現期|6~9月頃 -
北海道、本州、四国、九州、沖縄と、利尻島などに分布。平地から山地の林の中などに生息する。名前のとおり、頭部を除く全身が褐色がかった赤い色をしている。高尾山には比較的多く生息しており、目立つ体色なので見つけやすい。まれに胸部が黒いものもいる。触角は体長よりも短く、先の方がノコギリ状になっている。真夏に姿をみせ、野原や雑木林などを飛んで移動し、シシウドやノリウツギなどの花にとまり、花粉や蜜を食べる。幼虫はエゾマツ、アカトドマツなどの針葉樹の枯木や倒木、伐採された木を食べる。
体長|約12~22ミリ
成虫の出現期|7~9月頃 -
本州、四国、九州と、佐渡、隠岐、対馬、屋久島などの島に分布。平地から山地の樹林や雑木林などに生息する。体全体が黄金色の微毛でおおわれていて、ビロードのように角度によって色や模様が変わって見える。胸部背面に円錐状(えんすいじょう)の突起がある。5月ごろから姿を見せ、夜行性で日中は樹上や落ち葉の下などに隠れていることが多い。日没後から活動をはじめ、樹液を求めてクヌギ、コナラ、クリなどの木に飛来する。灯火に集まることも多い。メスはクリやクヌギなどの朽ち木(くちき)に卵を産みつける。ふ化した幼虫はそれらの木材の部分を食べて成長する。
体長|約22~35ミリ
成虫の出現期|5~8月頃