TAKAO 599 MUSEUM

高尾山の宝物たち

展示されている動植物

四季折々の美しい草花を閉じ込めたアクリル封入展示や、多種多様な昆虫を一同に並べた巨大標本展示。さらには、動物剥製を壁面に配し、ムービーとともに高尾山の魅力をダイナミックに魅せる「NATURE WALL」など、TAKAO599MUSEUMには、豊かな環境の中で生活を営む生物たちにいつでも出会える、工夫を凝らした展示を常設しています。

  • エサキオサムシ オサムシ科
    エサキオサムシ
    エサキオサムシ オサムシ科
    北海道から本州の中部にかけて分布するクロオサムシの、関東から新潟にかけて生息する亜種(あしゅ:同じ種類のなかで、地理的な隔離により、集団として違いが認められるもの)。東京近郊ではアオオサムシと並んでよく見られるオサムシの仲間。平地から山地の森林やその周辺の緑地などに生息する。体色は金属的な光沢のある赤銅色だが、緑色の光沢をもつ個体や、まれに光沢のない個体もいる。上翅(じょうし:甲虫類の二対の翅(はね)のうち、背部をおおうかたい翅)には細いすじがいくつも入っていて、後翅(こうし:甲虫類の二対の翅のうち、上翅の下に折りたたまれているやわらかい翅)は退化して飛翔(ひしょう)することはできない。昼間は木の陰や落ち葉の下などに隠れていることが多いが、日の射さない薄暗い場所などでは活動する。本格的に動き出すのは夜で、地表を歩き回りながら小型の昆虫やダンゴムシ、ミミズなどを捕えて食べる。

    体長|約20~23ミリ
    成虫の出現期|4~10月頃
  • コクワガタ クワガタムシ科
    コクワガタ
    コクワガタ クワガタムシ科
    北海道、本州、四国、九州と、伊豆諸島、佐渡島、対馬、屋久島などに分布。平地から山地の森林や雑木林などに生息する。高尾山でも比較的よく見かけられるクワガタで、初夏から秋まで見ることができる。小型だが、大きな個体になるとそれなりに見栄えのする大あごを持つ。日中も活動するが、樹洞(じゅどう:樹の中の空洞部分)や木の根元の隙間などに潜んでいることが多く、本格的に活動を始めるのは日没後。コナラやクヌギなどの樹液を求め、それらの木々にやってくる。体が小さいので大型のクワガタが入れないような、樹皮下のちょっとした隙間などにも潜りこんで樹液を吸う。

    全長(大あごを含む)|約20~55ミリ
    成虫の出現期|6~9月頃
  • スジクワガタ クワガタムシ科
    スジクワガタ
    スジクワガタ クワガタムシ科
    北海道、本州、四国、九州に分布。平地から山地のやや標高の高いところにある森林や雑木林をすみかにしている。スジクワガタというが、すじ模様があるのは小型のオスとメスのみで、上翅(じょうし:甲虫類の二対の翅(はね)のうち、背部をおおうかたい翅)に木目のような縦のすじがいくつも入っている。大型のオスにはすじがなく、コクワガタのオスと区別がつきにくいが、見分けるポイントとして、大あごの内側にある突起が、コクワガタが三角形でスジクワガタは四角ばっている、という違いがある。主にクヌギやコナラ、ヤナギなどの樹液を餌にしており、灯火(とうか)にもよく集まる。幼虫はクヌギやコナラの朽ち木(くちき)のなかで育つ。

    全長|約15~30ミリ
    成虫の出現期|6~9月頃
  • ノコギリクワガタ クワガタムシ科
    ノコギリクワガタ
    ノコギリクワガタ クワガタムシ科
    北海道、本州、四国、九州と、佐渡島、対馬、屋久島などに分布。低地を中心にした雑木林に生息している。暗褐色から赤褐色をした体色と中央で湾曲した大あごで、子供たちに人気が高い。ただ、オスは個体差があり、小型のものはまっすぐな小さなあごでとどまる。昼間は樹上の比較的高い場所で休んでいることが多く、夜になると動き出し、餌となる樹液を求めて、クヌギ、ヤナギ類、コナラなどの木に飛来する。クワガタ類のなかには越冬するものも多いが、ノコギリクワガタは多くがカブトムシと同様に、ひと夏を過ぎると死んでしまう。

    全長|約25~75ミリ
    成虫の出現期|6~8月頃
  • ミヤマクワガタ クワガタムシ科
    ミヤマクワガタ
    ミヤマクワガタ クワガタムシ科
    北海道、本州、四国、九州と、佐渡島、隠岐などの島に分布。平地から山地の雑木林やブナ林をすみかにしている。いかつい姿で人気が高いが、コクワガタやノコギリクワガタに比べると生息地が限られる。大きな特徴は、頭部背面に張り出している突起。これは大あごと同様に大型になるほど明確に発達し、小型の個体にはまったくないものもいる。体色は黒褐色から赤褐色で、体表には金色の短い毛が生えている。メスは全身が黒褐色。昼間もわりとよく活動するが、夜の方が活発で、クヌギやコナラなどの木に飛来して樹液をなめる。

    全長|約30~80ミリ
    成虫の出現期|7~8月頃
  • カブトムシ コガネムシ科
    カブトムシ
    カブトムシ コガネムシ科
    本州、四国、九州に分布。オスは立派な角を持ち、「日本の昆虫の王様」といわれるように、今も昔も子供たちに圧倒的な人気がある昆虫だが、実際は日本のみならず朝鮮半島や中国、インドシナ半島の北部などにも生息している。主なすみかは平地から山地の森林や雑木林。日没後に活発に飛翔(ひしょう)してクヌギやナラなどの樹液に集まる。脚の先端には鋭い爪(つめ)があり、大きな体を支えながら垂直な木の幹にしっかりとしがみつくことができる。角と頑丈な体で樹液に集まるほかの虫たちを相手にしない。土中に産みつけられた卵からかえった幼虫はその年のうちに終齢(さなぎになる前の段階)にまで成長し、翌年に羽化(うか:成虫になるための最後の脱皮)した成虫は2~3カ月ほどで命を終えてしまう。

    全長(角を含む)|約30~50ミリ
    季節|6~8月頃
  • カナブン コガネムシ科
    カナブン
    カナブン コガネムシ科
    本州、四国、九州と、佐渡島、伊豆諸島、五島列島、屋久島などに分布。主に低地の雑木林や森林に生息している。高尾山でも山道や林道でよく見ることができる。都心部でも公園や街路樹のあるところではふつうに見られる。扁平気味な体型と四角い頭が特徴。体色は銅色からほぼグリーンに近いものまでかなり個体差があるが、いずれも独特の輝きを放ち、非常に美しい。クヌギ、コナラ、ヤナギなどの樹液を好み、日中からこれらの木々に集まる。飛翔能力が高く、上翅(じょうし:甲虫類の二対の翅(はね)のうち、背部をおおうかたい翅)を開かずに後翅(こうし:甲虫類の二対の翅のうち、上翅の下に折りたたまれているやわらかい翅)だけを広げて飛ぶ。

    体長|約22~30ミリ
    成虫の出現期|7~8月頃
  • アオカナブン コガネムシ科
    アオカナブン
    アオカナブン コガネムシ科
    本州、四国、九州と、佐渡島、種子島、屋久島などに分布。低地から山地までの雑木林や森林に生息している。クヌギ、コナラ、ヤナギなどの広葉樹の樹液をなめる。7~8月の夏の短い期間に、樹液を求め、クワガタやカブトムシ、ハチなどとともに集まっている姿を見ることができる。大きさや生態などはカナブンとほとんど変わらない。カナブンは個体によってかなり色彩に違いがあるが、アオカナブンはすべてが深みのあるメタリックグリーンをしている。また、高尾山では見かける機会は少ないが、全身真っ黒のクロカナブンという種類もいる。カナブンと異なり、アオカナブンとクロカナブンは都心部などではほとんど見られない。

    体長|約22~30ミリ
    成虫の出現期|7~8月頃
  • オオトラフコガネ コガネムシ科
    オオトラフコガネ
    オオトラフコガネ コガネムシ科
    本州に分布。低山地から山地の緑地や草むらなどに生息する。初夏から夏にかけての短い期間にしか見ることができないハナムグリの仲間。背面にカラフルな大柄の模様を持ち、昆虫好きには人気が高い。これはオスの特徴で、メスは黒い体色に白の模様が入り、同種とは思えないほど雰囲気が異なる。また、触角も先が3つに分かれた独特の形をしている。山道に茂った草木の葉や花の上などで見ることができる。昼間からよくとびまわりながら、さまざまな花を訪れて花粉を食べる。幼虫は朽ち木(くちき)を食べて育つ。

    ●体長/約12~16ミリ
    ●成虫の出現期/6~8月頃
  • マメコガネ コガネムシ科
    マメコガネ
    マメコガネ コガネムシ科
    北海道、本州、四国、九州と、対馬、屋久島などに分布。平地から山地の緑地や草むらなどに生息するが、幼虫のときは土の中でさまざまな植物を食べ、マメ科を中心にした農作物の根を食べることもある。成虫はその新芽や葉、花などを食べる害虫として知られ、自然の環境よりもむしろ畑などでよく見かける。しばしば大量発生して農作物に被害を与えることがある。体長1センチ前後の小さなコガネムシで、体色は頭部から胸部にかけては光沢のある深い緑色、上翅(じょうし:甲虫類の二対の翅(はね)のうち、背部をおおうかたい翅)の表面は光沢のある赤褐色をしていてなかなか美しい。初夏のころから姿を現しはじめ、日中は餌になる草にとまっているものがよく見かける。

    体長|約9~13ミリ
    成虫の出現期|5~8月頃
  • センチコガネ コガネムシ科
    センチコガネ
    センチコガネ コガネムシ科
    北海道、本州、四国、九州と、対馬、屋久島などに分布。平地から山地の林や緑地のほか、農耕地や住宅地などでも見られる。多くは金属的な光沢のある黒色で、個体により紫や藍色、緑がかるものなどがいて、なかなか美しい。いわゆる「糞虫(ふんちゅう)」と呼ばれる昆虫で、動物のフンを主な餌としており、大きな羽音をたてて地上付近を飛んだり、地面を歩いたりしてフンを探す。メスはフンを土のなかに運び込んで固めて卵を産みつけ、卵からふ化した幼虫はそのフンを食べて成長する。高尾山の山道ではふつうに見られる。

    体長|約14~20ミリ
    成虫の出現期|4~11月頃
  • ナナホシテントウ テントウムシ科
    ナナホシテントウ
    ナナホシテントウ テントウムシ科
    北海道、本州、四国、九州、沖縄と、小笠原や宮古島などの島に分布。平地から山地にかけての草原や緑地などに生息する。都心部の公園や街路樹の植え込みなどでもよく見られ、日本人にとって最もなじみのある昆虫のひとつ。名前のとおりに、つやのある赤い上翅(じょうし:甲虫類の二対の翅(はね)のうち、背部をおおうかたい翅)に大きな黒い点が7つある。春先から秋口まで姿を見ることができる。肉食性で、主に植物につくアブラムシを食べることもよく知られる。危険を感じると、脚の関節から臭いのある黄色い液体を出して身を守る。幼虫も同様にアブラムシを食べるが成虫と異なる毛虫のような姿をしている。

    体長|約5~8ミリ
    成虫の出現期|3~11月頃
  • カメノコテントウ テントウムシ科
    カメノコテントウ
    カメノコテントウ テントウムシ科
    北海道、本州、四国、九州に分布。平地から山地の雑木林や緑地、谷川の渓谷沿いなどに生息する。日本産テントウムシの最大種で、1センチを超える個体は、テントウムシらしからぬ印象を与える。上翅(じょうし:甲虫類の二対の翅(はね)のうち、背部をおおうかたい翅)は光沢があり、赤と黒の入り組んだ模様が並ぶ。これをカメの甲らの様子に見立てたのが、和名の由来とされる。春から秋まで見られるテントウムシで、成虫・幼虫ともに、主にオニグルミやサワグルミにつくクルミハムシやドロノキハムシ、ヤナギ類につくヤナギハムシなどの幼虫を食べる。ほかの多くのテントウムシと同様に、危険を感じると脚の部分から臭いのある液を出す。冬を迎えるころになると、樹皮の隙間や岩の陰に集まり、越冬する。

    体長|約8~12ミリ
    季節|4~10月頃
  • アカガネサルハムシ ハムシ科
    アカガネサルハムシ
    アカガネサルハムシ ハムシ科
    北海道、本州、四国、九州、沖縄に分布。低地から山地の雑木林やその周辺の草むらなどに生息する。畑などでもよく見かけられる。個体差はあるが、多くは上翅(じょうし:甲虫類の二対の翅(はね)のうち、背部をおおうかたい翅)の大部分が名前にあるように赤銅色をしており、それ以外の部分はメタリックグリーンとなっている。角度によって色合いが変わって見えることもあり、非常に美しい。春先から夏にかけて見られ、エビヅルなどブドウ類、トサミズキ、ハッカなどの葉を食べる。普段は、これらの植物の葉の上にいることが多い。幼虫は土の中で成虫と同じ植物の根を餌にしており、幼虫、成虫ともブドウの害虫として知られる。

    体長|約5~7ミリ
    成虫の出現期|5~8月頃
  • ヨツスジハナカミキリ カミキリムシ科
    ヨツスジハナカミキリ
    ヨツスジハナカミキリ カミキリムシ科
    北海道、本州、四国、九州と、伊豆諸島北部の島、利尻島、佐渡島、隠岐島、五島列島などに分布。平地から山地の雑木林や草原などに生息する。名前のとおり、上翅(じょうし :甲虫類の二対の翅(はね)のうち、背部をおおう硬い翅)に黄褐色から白色の4本の帯が入っている。脚は黄褐色でやや細身の体型をしており、ハチの仲間に擬態しているといわれている。
    6月中旬頃から姿を見せ始める。花の花粉や蜜を餌にするハナカミキリの仲間で、アジサイ類、ノリウツギ、クリ、リョウブ、ミズキなどの花に来る。トラカミキリの仲間にもよく似た模様の種類のものがあるが、胸部が細いことで見分けがつく。幼虫はエゾマツ、アカマツなどの針葉樹のなかで木の内部を食べて成長する。

    体長|約12~20ミリ
    成虫の出現期|6~9月頃
  • アカハナカミキリ カミキリムシ科
    アカハナカミキリ
    アカハナカミキリ カミキリムシ科
    北海道、本州、四国、九州、沖縄と、利尻島などに分布。平地から山地の林の中などに生息する。名前のとおり、頭部を除く全身が褐色がかった赤い色をしている。高尾山には比較的多く生息しており、目立つ体色なので見つけやすい。まれに胸部が黒いものもいる。触角は体長よりも短く、先の方がノコギリ状になっている。真夏に姿をみせ、野原や雑木林などを飛んで移動し、シシウドやノリウツギなどの花にとまり、花粉や蜜を食べる。幼虫はエゾマツ、アカトドマツなどの針葉樹の枯木や倒木、伐採された木を食べる。

    体長|約12~22ミリ
    成虫の出現期|7~9月頃
  • ルリボシカミキリ カミキリムシ科
    ルリボシカミキリ
    ルリボシカミキリ カミキリムシ科
    北海道、本州、四国、九州に分布。平地から山地の樹林や雑木林などに生息する。名前のとおり青みの強い水色の体に大きな三対の黒斑が並ぶ、美しいカミキリムシとして知られる。この黒斑は左右のものがつながっていることもある。触角も青く節目に黒い毛の房がある。6月頃から姿を見せはじめ、日中に活動する。高尾山ではイヌブナの倒木によく見られ、コナラなどの樹液や、リョウブなどの花にも集まることがある。幼虫も成虫と同じブナ類などの木の内部を食べて成長する。

    体長|約18~30ミリ
    成虫の出現期|6~9月頃
  • ゴマダラカミキリ カミキリムシ科
    ゴマダラカミキリ
    ゴマダラカミキリ カミキリムシ科
    北海道、本州、四国、九州、沖縄と、佐渡、隠岐、対馬、種子島、屋久島などの島に分布。低地から山地の雑木林などに生息する。成虫・幼虫ともにヤナギ類、シイ類、ミカン類、カエデ類など幅広い食性を持ち、畑地などにも多いことから、もっともよく知られるカミキリムシのひとつ。高尾山でも登山道でよく見かけられる。光沢のある黒色の体には白い斑点が散らばる。触角は水色と黒のしま模様になっていて、オスは体長の2倍近くになるが、メスは体長1.2倍ほど。しばしば庭木、街路樹などを枯死させる被害を与えることがある。

    体長|約25~35ミリ
    成虫の出現期|6~8月頃
  • キボシカミキリ カミキリムシ科
    キボシカミキリ
    キボシカミキリ カミキリムシ科
    本州、四国、九州と、隠岐、壱岐、対馬などの島に分布。平地から低山地の森林に生息するが、農耕地や市街地の街路樹などでも見かけられる。長い触角を持つカミキリムシで、オスは体長の3倍近くにもなる。体色は黒で黄白色から黄色の斑点が散らばることが多い。初夏から秋口にかけて姿を現し、イチジク、クワ、ミカン類などの木の葉や樹皮を強力なアゴでかじりながら食べる。灯火にもよく集まる。メスはこれらの木に傷をつけ、そこに卵を産みつける。ふ化した幼虫は木材を食べながら成長する。

    体長|約14~30ミリ
    成虫の出現期|5~11月頃
  • ラミーカミキリ カミキリムシ科
    ラミーカミキリ
    ラミーカミキリ カミキリムシ科
    関東より西の本州、四国、九州と、対馬、隠岐、種子島などの島に分布。平地から山地の雑木林やその周辺の緑地などに生息する。外来種で、江戸時代末期に中国から輸入された植物ラミー(イラクサ科)にくっついて、当時の貿易地の長崎県入ってきたといわれる。分布域が徐々に北上してきており、これは温暖化の影響とされている。体には白緑色の地色に大きな黒い斑点模様が入り、色合いが美しい。かつては高尾山にはいなかったが、1990年代の前半ごろから見られるようになり、今では5月から8月頃にもっともよく見かけるカミキリムシのひとつとなった。日中に活動し、飛びまわりながら餌となるラミー、カラムシ、ヤブマオ、シナノキ、ムクゲといった植物の葉や茎などを食べる。幼虫は成虫と同じ植物の茎や根を食べて成長する。

    体長|約10~20ミリ
    成虫の出現期|5~8月頃
  • シロスジカミキリ カミキリムシ科
    シロスジカミキリ
    シロスジカミキリ カミキリムシ科
    本州、四国、九州と、佐渡、隠岐、対馬、奄美などの島々に分布。平地から山地の樹林や緑地に生息する。日本産のカミキリムシでは最大種となり、大きいものは体長が6センチ近くにもなる。体は黒く、全体が灰色の微毛におおわれている。上翅(じょうし:甲虫類の二対の翅(はね)のうち、背部をおおうかたい翅)に大小の黄斑がすじ状に並んでいるが、この模様は標本などでは白くなってしまうことから命名の際に「白すじ」とされた。大きな 複眼(ふくがん:小さな眼が多数集まって、ひとつの大きな眼を形成したもの)とよく発達した大あごを持つ。どちらかというと夜行性だが、日中に活動することもある。雑木林に生えるヤナギ科、クルミ科、カバノキ科、ブナ科、ニレ科などの木の樹皮をかじって食べる。またそれらの木々の樹液にも集まる。幼虫はクリ、クヌギ、シイなどの木の内部を食べて育つ。

    体長|約45~55ミリ
    季節|6~8月頃
  • ヒゲナガオトシブミ オトシブミ科
    ヒゲナガオトシブミ
    ヒゲナガオトシブミ オトシブミ科
    北海道、本州、四国、九州に分布。平地から低山地の雑木林や草むらなどに生息する。体色は地域や個体によってばらつきがあり、黄褐色に近いものもいるが、多くはつやのある赤褐色から暗褐色をしている。オスとメスで体型に違いがあり、オスは頭部と胸部がひじょうに細長く、名前のとおりに触角もとても長い独特の姿をしている。体もメスよりもオスの方が大きい。メスは胸部も触角もそれほど長くなく、別種のウスアカオトシブミに似る。姿を見られるのは初夏から真夏にかけてで、アブラチャン、コブシ、イタドリ、ケクロモジ、カナクギノキなどの葉に切れこみを入れ、卵をひとつ産んで、小さく折りたたみ、幼虫のための「ゆりかご」を作り、地面に落とす。オトシブミの名は、これを「落とし文(誰かに読ませるために地面に落とした手紙)」に見立てたもの。ふ化した幼虫は、ゆりかごとなった葉を食べて育つ。オトシブミの種類によっては、ゆりかごを落とさずに葉に残すものもいる。

    体長|約8~12ミリ
    成虫の出現期|5~7月頃
  • オジロアシナガゾウムシ ゾウムシ科
    オジロアシナガゾウムシ
    オジロアシナガゾウムシ ゾウムシ科
    本州、四国、九州に分布。平地から山地の林やその周辺の緑地、草原などに生息する。全体の地色は黒で、ところどころに 鱗毛(りんもう)という細かい毛が密生し、その部分が白くなっている。上翅(じょうし:甲虫類の二対の翅(はね)のうち、背部をおおうかたい翅)の後部はほぼ白く、オジロの名はこれに由来する。アシナガゾウムシは分類上のグループ名で、本種ではそれほど脚の長さは目立たない。春先から姿を現わし、幼虫も成虫もクズを食べ、成虫はクズの葉の上でよく見ることができる。危険を察知すると脚をたたみ、死んだように動かなくなる習性がある。メスはクズの茎に傷をつけて卵を産み、ふ化した幼虫は茎の中身を食べて成長する。

    体長|約9~10ミリ
    成虫の出現期|4~10月頃
  • オオゾウムシ オサゾウムシ科
    オオゾウムシ
    オオゾウムシ オサゾウムシ科
    北海道、本州、四国、九州、沖縄と、伊豆大島、対馬などに分布。低地から山地の雑木林や森林に生息する。全身が茶褐色でところどころに黒い斑があるが、本来の地色は黒く、長生きしている個体ほど全体が黒っぽく見える。ごつごつした鋳物(いもの)のような体は非常にかたい。その名のとおり、ゾウの鼻のようにのびた口が目立つ。日本産のゾウムシの中では最大種。成虫がよく見られるのは初夏から真夏にかけてで、クヌギやコナラなどの木に集まり、樹液をなめる。昼間は倒木や朽ち木(くちき)などの下にいることが多い。成虫になってから2年ほど生きるとされている。卵は木の中に産みつけられ、幼虫は材部を深くまで食べ進む。

    体長|約12~29ミリ
    成虫の出現期|6~9月頃
  • オオスズメバチ スズメバチ科
    オオスズメバチ
    オオスズメバチ スズメバチ科
    北海道、本州、四国、九州と、屋久島、種子島などに分布。平地から低山地に生息し、住宅街などでも活動する。日本産のハチの最大種で、濃いオレンジ色と黒のしま模様でよく目立つ。土の中などに巣を作り、そこをすみかとする。肉食性で、大型の昆虫を主な餌とするが、集団でほかのハチの巣を襲い、捕らえたさなぎや幼虫なども食べる。雑木林の樹液にもよく集まる。攻撃性の強いハチとしてよく知られ、人間を死に至らすほどの猛毒の持ち主。見かけたり、近くで「ブーン」という大きな羽音がしたら、慌てずにゆっくりとその場を離れる。甘いドリンク類や弁当に近づいてくることもある。

    体長|約27~45ミリ
    成虫の出現期|4~10月頃
  • キイロスズメバチ スズメバチ科
    キイロスズメバチ
    キイロスズメバチ スズメバチ科
    本州、四国、九州と、佐渡、対馬、屋久島などの島に分布。低地から山地の木々の茂る里山や雑木林などに生息する。オオスズメバチよりもひとまわり小さい中型のスズメバチで働きバチは約20ミリ、オスが約20~24ミリ、女王バチは約25~28ミリになる。春先から姿をみせはじめ、樹木の洞や土の中などに球形の巣を作る。近年は都市部の人家の軒下や壁などにも作ることが多く、問題となっている。名前のとおり、体色は黄色みが強い。攻撃的な性格で少しの刺激でも襲ってくるので、巣を見かけても近寄ることのないよう気をつけたい。花の蜜や樹液などを好み、セミなど様々な昆虫も捕らえて餌にする。

    体長|約20~28ミリ
    成虫の出現期|4~11月頃
  • クマバチ ミツバチ科
    クマバチ
    クマバチ ミツバチ科
    本州、四国、九州と、対馬、屋久島などに分布。平地から山地の雑木林やその周辺の緑地に生息し、人家の庭や公園などでもよく見られる。春先から初夏にかけて姿を見せはじめ、さまざまな花々をまわりながら、花粉や蜜を集めて餌にする。オスは山の尾根や野原などにそれぞれなわばりをもっており、ホバリング(一定の位置で飛び続けること)しながら同じ場所を見張っている姿を見かけることがある。潅木(かんぼく)や枯れ枝などに穴を掘って巣を作り、子供を育てる。羽の音が大きく、毛むくじゃらな姿であることから怖がられるが、実際はおとなしく攻撃してくることはほとんどない。

    体長|約20~24ミリ
    成虫の出現期|3~10月頃
  • クロオオアリ アリ科
    クロオオアリ
    クロオオアリ アリ科
    北海道、本州、四国、九州と、対馬、屋久島などの島に分布。平地から山地の草地などに生息する。開けた地面に巣を作るので、都心部の公園や庭先などでもよく見られる。日本産アリでは最大種で、働きアリは約10ミリ、女王アリは約17ミリほどにもなる。体色は黒色で、腹部はやや褐色。地中に掘った巣の中で女王アリを中心とした集団生活を行なう。餌を探すのは働きアリの仕事で、単独もしくは数匹程度で行動し、死んだ虫や、アブラムシの分泌液などを餌にする。5月から6月頃、 翅(はね)をもったオスアリとメスアリは巣から飛び立ち、交尾を行なう。地上に降りるとメスアリは翅を落とし、新しい巣を作る。最初に生まれた何匹かはメスアリが世話をするが、それが働きアリになるとメスアリは卵を産むだけの女王アリとなる。

    体長|約7~13ミリ(働きアリ)
    季節|4~11月頃
  • ムネアカオオアリ アリ科
    ムネアカオオアリ
    ムネアカオオアリ アリ科
    北海道、本州、四国、九州と、屋久島、対馬などに分布。平地から山地の林内や草地などに生息する。日本に分布するアリのなかではクロオオアリと並ぶ最大種で、女王アリは2センチ近くにもなる。頭部と脚は黒色で、胸部と腹部の前方付近が赤褐色をしているのが大きな特徴。中には胸部のみ赤褐色のものもいる。土の中ではなく、林の朽ち(くちき)や木の根元などに巣を作るので、都心部の公園などで見かけることはほとんどない。通常見かけるのは働きアリで、巣の外では基本的に単独で行動し、行列を作るようなことはほとんどない。小さな昆虫の死骸や、アブラムシの出す蜜などを餌にする。

    体長|約7~12ミリ
    成虫の出現期|5~10月頃
  • シオカラトンボ トンボ科
    シオカラトンボ
    シオカラトンボ トンボ科
    北海道、本州、四国、九州、沖縄に分布。平地から低山地の日当たりのよい草地や、池や沼などの水辺などに生息する。
    ちょっとした水たまりにも飛来し、市街地でもよく見ることのできるトンボのひとつ。春に羽化(うか:成虫になるための最後の脱皮)した直後は、オスもメスも地色は黄褐色で、腹部に黒い模様が入る。その後、オスだけ成熟するにしたがって体色が変わり、胸部のあたりから腹部にかけて塩が吹いたような白い粉におおわれていく。このことが和名の由来にもなっている。メスは一生にわたって体色はほぼ変わらず「麦わらとんぼ」の別名で知られる。メスは飛びながら腹部の先端を水面に打ちつけて産卵を行なう。

    体長|約49~55ミリ
    成虫の出現期|5~9月頃
  • ミヤマアカネ トンボ科
    ミヤマアカネ
    ミヤマアカネ トンボ科
    北海道、本州、四国、九州に分布。平地から山地に生息し、比較的ゆるやかな流れの川沿いや水田の周辺、池や沼などの水辺でよく見ることができる。アキアカネとともに体が真っ赤に染まるトンボで、オスは成熟すると頭部と腹部が赤く染まる。
    前後の翅(はね)の先端付近に褐色の太い帯状の模様があり、このような特徴を持つ赤とんぼはミヤマアカネだけなので判別しやすい。メスの体色はまっ赤になることはなく赤みがかかった褐色。翅の先端部に長方形の縁紋(えんもん:先端近くにある四角い斑紋)があり、オスはこれが赤く、メスは白い。小さな昆虫類が餌で、空中で捕らえて食べる。

    ※ここでは、「斑点」は点状の模様、「斑紋」はある程度大きな模様を指しています。

    体長|約30~40ミリ
    成虫の出現期|6~9月頃
  • オニヤンマ オニヤンマ科
    オニヤンマ
    オニヤンマ オニヤンマ科
    北海道、本州、四国、九州、沖縄と、佐渡島、対馬、屋久島、奄美大島などに分布。日本産のトンボ類では最大種となり、大きいものは体長が11センチにもなる。生息域は平地や低地の小川や湿地、山間部の渓流などだが、ごくまれに都心部でも見かけることがある。大きな目は濃い緑色をしており、体は黒く黄色の線が一定の間隔で入っていて、非常に見栄えがする。小型の昆虫などを主食とし、これらを空中で捕食する。オスはそれぞれ一定のなわばりを持ち、その範囲内を巡回するように飛翔(ひしょう)する。メスは水面に腹部をつけたままホバリング(一定の位置で飛び続けること)し、産卵する。

    体長|約90~100ミリ
    成虫の出現期|6~10月頃
  • ミヤマカワトンボ カワトンボ科
    ミヤマカワトンボ
    ミヤマカワトンボ カワトンボ科
    北海道、本州、四国、九州に分布。低地から山地にかけての清流や渓流などを主なすみかとしている。日本産のカワトンボのなかでは最大。主な餌は小型の昆虫類。半透明な深みのある茶色の翅(はね)を持ち、水辺をゆるやかに飛び回る姿は、メタリックグリーンの腹部と相まって非常に優雅にみえる。メスは翅の先端に近いところに白の縁紋(えんもん:先端近くにある四角い斑紋)が入り、腹部の色は褐色系。オスはそれぞれなわばりをもっていて、そこにやってきたメスと交尾をする。
    メスは水中で産卵することもあり、翅や体表にできる空気の膜を利用し、1時間近く潜っていることができる。

    ※ここでは、「斑点」は点状の模様、「斑紋」はある程度大きな模様を指しています。

    体長|約60~65ミリ
    成虫の出現期|5~9月頃
  • ムカシトンボ ムカシトンボ科
    ムカシトンボ
    ムカシトンボ ムカシトンボ科
    北海道、本州、四国、九州に分布。生殖器など多くの部分に原始的な特徴をとどめているため、「生きた化石」として世界的に知られる。ムカシトンボ科で現存するのは日本産の本種のほかに、ヒマラヤに1種と中国北東部に2種がいるのみ。体はサナエトンボに似るが、前翅(ぜんし:二対ある翅のうち前方にあるもの)と後翅(こうし:二対ある翅のうち後方にあるもの)の形がほとんど同じという、イトトンボのような特徴を持つ。河川の上流域や樹林に囲まれた渓流に生息しており、ハエやカなどの小型の昆虫を餌にする。メスは水辺の植物の茎などに産卵し、ふ化した幼虫は渓流中の石の隙間などにすむ。水中で7~8年を経た後上陸し、1か月ほど水辺ですごしてから羽化(うか:成虫になるための最後の脱皮)して成虫となる。

    体長|約50~60ミリ
    成虫の出現期|5月頃
  • アブラゼミ セミ科
    アブラゼミ
    アブラゼミ セミ科
    北海道、本州、四国、九州と、対馬、屋久島などに分布。平地から山地の雑木林や樹林に主に生息し、木の幹にとまって樹液を吸う。大木のある公園やナシなどの果樹園でもよく見られ、全国で最もよく見られるセミのひとつ。セミの仲間は鳴くのはオスのみで、アブラゼミは「ジュイー」「ジュジュジュジュー」といった声でよく鳴く。この鳴き声が、油でものを揚げる音に似ていることが名前の由来とされている。 翅(はね)は全体が不透明な茶褐色で、ところどころに濃淡の模様が入る。メスは樹皮に卵を産み、約1年でふ化する。幼虫は地中で樹木の根から樹液を吸って生活し、6年から7年を経て地上へ上がり、羽化(うか:成虫になるための最後の脱皮)して成虫となる。

    全長(頭から翅の先まで)|約50~60ミリ
    成虫の出現期|7~9月頃
  • ツクツクボウシ セミ科
    ツクツクボウシ
    ツクツクボウシ セミ科
    北海道、本州、四国、九州と、対馬、屋久島などの島に分布。平地から低山地の樹林や雑木林などに生息する。都市部の公園や街路樹などでも見ることができる。さまざまな樹木に飛来して、樹液を吸う。8月から9月頃にかけてもっともよく出現する。
    名前の由来ともなっている「オーシーツクツク」という独特の抑揚のついた鳴き声が印象的。午前、午後とあまり時間を問わずに鳴く。体色は黄褐色から黒色でところどころに緑色の模様が入る。オスとメスは、体の大きさはさほど変わらないが、オスは腹部のほとんどが空洞で丸みをおびており、メスは先端に産卵管があるためとがっている。

    全長|約45ミリ前後
    成虫の出現期|7~10月頃
  • ヒグラシ セミ科
    ヒグラシ
    ヒグラシ セミ科
    北海道南部、本州、四国、九州と、屋久島などに分布。平地から低山地の樹林に主に生息する。比較的早い時期から出現する種類で、6月ぐらいから姿を現しはじめ、最盛期は7月になる。「日暮らし」の名のように、夕闇迫る日暮れ時に金属的な響きのある「ヒヒヒヒヒ」といった声で鳴くが、文字では「カナカナ」と表現されることが多い。あたりがまだ薄暗い早朝や、曇っていれば日中でも鳴くことがある。体色は個体差があるが、地色は茶褐色でところどころに緑と黒の模様を持つものが多い。オスは腹部が大きいがほとんど空洞で、メスは先端がとがる。体に白い綿のようなものがついていることがあるが、これはセミヤドリガというガの幼虫の寄生によるもの。

    全長|約40~50ミリ
    成虫の出現期|6~9月頃
  • ミンミンゼミ セミ科
    ミンミンゼミ
    ミンミンゼミ セミ科
    北海道南部、本州、四国、九州と、対馬に分布。平地から山地の樹林に主に生息している。関東ではアブラゼミとならんでもっともよく見ることのできるセミで、都会の街路樹や公園の樹木にも多い。7月中旬頃から姿を現し、名前のとおりに「ミーン、ミン、ミン、ミン」と大きな声で鳴く。体は黒色で緑色のまだら模様を持ち、背面中央は白く粉をふいたようになる。まれに全体が黒色の個体や、ミカド型と呼ばれる全体が緑色をした個体もいる。翅(はね)は透明で胴体よりも倍近く長い。ほかのセミと同じくとがった口を木に刺して汁を吸う。卵からふ化した幼虫は成虫になるまでに6年かかる。

    全長|約55~63ミリ
    成虫の出現期|7~9月頃
  • エサキモンキツノカメムシ ツノカメムシ科
    エサキモンキツノカメムシ
    エサキモンキツノカメムシ ツノカメムシ科
    本州、四国、九州と、対馬、奄美大島などに分布。低地から山地の雑木林や草地などに生息する。背面は茶褐色で、前翅(ぜんし:二対ある翅(はね)のうち前方にあるもの)からはみ出た腹部や脚は緑から黄緑色。胸部の両端がとがるツノカメムシの仲間で、背面上部にあるハート形のような黄白色の紋がよく目立つ。エサキは日本の昆虫学者、江崎悌三博士に捧げられたもの。ミズキ、ハゼノキ、ウド、カラスザンショウなどの樹の上にいることが多く、これらの木の汁を吸う。メスは産んだ卵を守る習性があり、ミズキなどの葉の裏などに卵を産みつけるとそれを抱え込むようにして、ふ化後もしばらく幼虫を外敵から守り続ける。

    ※ここでは、「斑点」は点状の模様、「斑紋」はある程度大きな模様を指しています。

    体長|約10~12ミリ
    成虫の出現期|5~10月頃
  • コカマキリ カマキリ科
    コカマキリ
    コカマキリ カマキリ科
    本州、四国、九州、伊豆諸島、対馬、屋久島などに分布。平地から山地にかけての林や草地、畑などに生息。公園や庭などにも多い。体色はほとんどの個体が黄土色から濃い褐色で、緑色の個体もいるが、まれにしか見つからない。前脚の内側に黒い部分があり、よく目立つ。植物の多くが緑色の時期には、地表付近や倒木の近くなどにいることが多く、秋になると枯れ草の上などで見られるようになる。卵鞘(らんしょう:卵を保護する断熱材のようなもの)は細長く、地表近くの石や木の幹などに産みつけられることが多い。

    体長|約36~60ミリ
    季節|8~11月頃
  • ヒメカマキリ ヒメカマキリ科
    ヒメカマキリ
    ヒメカマキリ ヒメカマキリ科
    本州、四国、九州と、南西諸島などに分布。低山地から山地の雑木林や、その周囲の草地などに生息する、非常に小さなカマキリ。体長3センチ程度でも腹部をおおうりっぱな翅(はね)があるため成虫とわかる。他のカマキリ類に比べて頭部が横長の三角形で、複眼(ふくがん:小さな眼が多数集まって、ひとつの大きな眼を形成したもの)が左右に突き出たようになっている。体色は緑色系のものと褐色系のものがいるが、背部が褐色で前脚が緑など、部分的に混じる個体が多い。危険を感じると体を伏せて動きをとめ、さらにその場から落ちて逃げようとする。脚をぴったりと体につけて死んだふりをすることもある。卵から生まれたばかりの幼虫は体色が黒く、アリに似ている。

    体長|約25~32ミリ
    季節|6~10月頃
  • ナナフシ(ナナフシモドキ) ナナフシ科
    ナナフシ(ナナフシモドキ)
    ナナフシ(ナナフシモドキ) ナナフシ科
    本州、四国、九州に分布。平地から低山地の雑木林やその周囲の緑地などに生息する。体色は緑色と褐色のものがいる。木の枝や草の茎にそっくりな姿形をしていて、じっとしているとみつけにくい。成虫でも翅(はね)がなく、飛ぶことはできない。ゆっくりと樹木や草の上を移動しながら、サクラやコナラなどの植物の葉を食べる。よく似たエダナナフシは触角が前脚と同じくらい長いことで見分けることができる。また、高尾山には翅のあるトビナナフシも生息しており、いずれも単為生殖という珍しい生態を持っていて、メスはオスとの交尾なしで卵を産み、子孫を増やすことができる。

    体長|約60~100ミリ
    成虫の出現期|7~11月頃
  • ヘビトンボ ヘビトンボ科
    ヘビトンボ
    ヘビトンボ ヘビトンボ科
    北海道、本州、四国、九州に分布。平地から山地の谷川周辺や林などに生息する。細長い体と大きな4枚の翅(はね)をもつが、トンボの仲間ではない。トンボとの最も大きな違いは、「完全変態」といって、さなぎの段階があること(トンボはさなぎにならない「不完全変態」)。体色は全体にやや明るめの黄褐色、翅にはところどころに黄色の斑点がある。日中は河原近くの林や草むらなどで休んでいることが多く、夜になると活動をはじめ、樹液を求めてさまざまな木に集まる。灯火に飛来することも多い。頭部には大きな牙をもっており、不用意につかむと長い胸部を動かして噛みつこうとする。その様子をヘビに見立ててこの名がついている。幼虫は「孫太郎虫」とよばれ、清流に棲み、水生昆虫などを食べる。

    体長|約36〜40ミリ
    成虫の出現期|6~9月頃
  • ヤマトシリアゲ シリアゲムシ科
    ヤマトシリアゲ
    ヤマトシリアゲ シリアゲムシ科
    本州、四国、九州に分布。低山地から山地の雑木林や緑地に生息する。「尻上げ」の名のとおり、腹部が中ほどからサソリの尾のようにそり返っている。ただしこれはオスの特徴で、メスの腹部は太くそり返らない。またオスの腹部の先端はハサミのようになっていて、交尾の際にメスを押さえつけたり、オス同士のケンカに使ったりする。餌は死んだ昆虫の体液や果実の汁。
    オスはメスに虫の死骸を与え、それを食べている間に交尾をするという珍しい習性をもつ。春先に羽化(うか:成虫になるための最後の脱皮)したものは体色が黒っぽいが、夏に羽化したものは黄色みが強く、違う種類であるかのように見える。
    幼虫は土の中で生活し、まゆを作ってさなぎになる。

    体長|約13~20ミリ
    成虫の出現期|4~9月頃
  • クワガタソウ ゴマノハグサ科
    クワガタソウ
    クワガタソウ ゴマノハグサ科
    沢沿いの林の下など、やや湿ったところに生えている多年草(複数年のあいだ育成する植物)。春遅く、木々の芽吹きも終わったころに咲きはじめる。花のあとにできる扇形の実につく萼(がく:花の外側にある、葉の変化した器官)の形が、武将がかぶる兜の飾りである「くわがた」に似ていることから、その名が付けられた。花は淡い紅紫色で、茎の上部の葉のわきに1~5個つける。直径は約1センチで、花びらに紫色の筋が入っている。皿状の花冠には、深い切れ込みがあるため、花びらが4枚あるように見える。葉は対生(たいせい)といって、2枚が向き合ってつく。形は卵形で、先がややとがり、ふちにあらい鋸歯(きょし:葉のふちにあるノコギリの歯のようなギザギザ)がある。とくに上部につく葉は大きく、長さ約3〜5センチにもなる。茎や葉には、短い毛が生えている。

    季節|5月上旬~6月上旬頃
    高さ|約10~20センチ
    場所|6号路、裏高尾
  • オカタツナミソウ シソ科
    オカタツナミソウ
    オカタツナミソウ シソ科
    山麓から山頂までの林のふちや草地に生える多年草(複数年のあいだ育成する植物)。高尾山にはタツナミソウの仲間が見られるが、ヤマタツナミソウのように、葉が一方方向に偏ることがなく茎の上部に集まるといった点で違いがある。花は湾曲した筒状で、長さ約2センチ。茎の先に直立するように、いくつかかたまって咲く。タツナミソウの名は、花の形を波頭に見立てたものであり、丘に生えるタツナミソウの意味で「丘立浪草」と名付けられた。花の色は淡い青紫色。茎には短い毛が下を向いて生えている。葉は広い卵形でふちにあらい鋸歯(きょし:葉のふちにあるノコギリの歯のようなギザギザ) がある。上部につくものほど大きく、長さ約5センチ。花が終わると、萼(がく:花の外側にある、葉の変化した器官)は皿状になって口を閉じる。その中で実が熟すと黒い種を散らす。

    季節|5月中旬~6月中旬頃
    高さ|約20~50センチ
    場所|6号路
  • ホタルカズラ ムラサキ科
    ホタルカズラ
    ホタルカズラ ムラサキ科
    山地の林のふちや草地など、日当たりのよい乾燥したところに生える多年草(複数年のあいだ育成する植物)。花の色を蛍の光にたとえて、その名が付けられた。新緑の時期、鮮やかな青紫色の花が浮かび上がるように見える。花の直径は約1.5~2センチで、細い茎の上部の葉のつけねから数個がかたまって咲く。花びらは5つに裂け、中央部分に盛り上がった白い筋が入る。葉は長さ約2~6センチで、細長い靴べらのような形をしている。葉や茎にはかたい毛が生えており、ざらざらとした手触りである。花が終わると、走出枝(そうしゅつし:地表をはってのびる枝。ランナーとも呼ばれる)という長い枝をのばし、その先から根を出して新しい株をつくり、ふえていく。葉は冬でも枯れずに残っている。

    季節|4月中旬~5月中旬頃
    高さ|約15~20センチ
    場所|南高尾
  • フデリンドウ リンドウ科
    フデリンドウ
    フデリンドウ リンドウ科
    山野の日当たりのよい雑木林や草地などに生える越年草(秋に発芽し越冬して翌年に花が咲く植物)。つぼみの姿が筆の穂先を思わせることから、その名が付けられた。晴れると花は開くが、曇りや雨の日は閉じている。花は長さ約2~2.5センチのラッパ形で、茎の先に数個がかたまってつく。花の先は5つに裂けているが、その間に副片(ふくへん)という、短くつきでた部分があるので、10片に裂けているように見える。花の色は青紫色で、まれに白いものも見られる。茎の上部に密につく葉は小さな卵形でやや厚く、長さ約0.5~1.2センチ。裏面はしばしば赤紫色をおびる。

    季節|4月中旬~5月中旬頃
    高さ|約5~10センチ
    場所|奥高尾、南高尾
  • セントウソウ セリ科
    セントウソウ
    セントウソウ セリ科
    沢沿いの道端や林のふちに生える多年草(複数年のあいだ育成する植物)。春の早い時期、葉が開くより先に花が咲く。全体がやわらかく、繊細な雰囲気がある山野草である。漢字で「仙洞草(せんとうそう)」と書くが、名の由来は不明。葉の形がセリバオウレン(キンポウゲ科)に似ていることから「オウレンダマシ」の別名がある。葉は3枚がワンセットつく複葉で、それぞれの葉には細かな切れ込みが入る。紫色をおびた長い葉柄(ようへい:葉をささえる柄)が特徴で、根もとからのびる。葉の間から茎をのばし、その先に直径1ミリほどの白い花をたくさんつける。5枚の花びらは内側に曲がってつき、花からつき出た黄色い雄しべが目立つ。花が終わると、長さ約3~5ミリの楕円形の実をつける。

    季節|3月下旬~4月下旬頃
    高さ|約10~20センチ
    場所|1~6号路、蛇滝、裏高尾
  • エイザンスミレ スミレ科
    エイザンスミレ
    エイザンスミレ スミレ科
    沢沿いの林の下やふち、林道など、木陰から日当たりのよい場所まで、いろいろな環境に生えている多年草(複数年のあいだ育成する植物)。比叡山で発見されたことから、その名が付けられた。葉に特徴があるスミレで、春に出る葉は鳥の足のように3つに裂け、それがさらに細かく分かれてギザギザとしている。夏になると葉は急激に成長し、長さ約15~25センチにもなる。この葉の大きさを見るとスミレとは思えない。根もとから葉と花の柄(え)を出し、地上に茎は出てこない。花の直径は約2センチで、白色から淡い紅色のものがある。花びらのふちは波打ち、香りがある。距(きょ:花びらの後方にある袋状の部分)はやや太く、長さは約7ミリ。花びらの側弁には毛が生えている。

    季節|4月上旬~5月上旬頃
    高さ|約5~15センチ
    場所|2号路、4~5号路、稲荷山、裏高尾、奥高尾、北高尾
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