植物図鑑
暖温帯と冷温帯、それぞれに分布する植物が混在して生育する高尾山。自生する植物の種類が多く、四季折々のさまざまな姿を楽しめます。1600を超える種類の植物が確認されており、その数はイギリス全土で自生する種類の数に匹敵。高尾山で最初に発見された植物も多く、その数はタカオスミレ、タカオヒゴタイなど60数種類にものぼります。
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丘陵地から山地の林内に生える落葉低木(らくようていぼく:1年のうちに葉を落とす時期のある、高さがおおむね3メートル以下の木)で、枝分かれをして広がる。小型のアジサイであることからその名が付けられた。葉は長さ約5~8センチの先がとがった卵形で、枝に向かい合ってつく。両面に毛が生え、ふちの上半分に大きな三角形の鋸歯(きょし:葉のふちにあるノコギリの歯のようなギザギザ)がある。秋には黄色く色づく。開花の時期は6月頃で、枝先から直径約5センチの平らな花序(かじょ:花をつけた茎)を出し、淡い青色の花を多数つける。ひとつの花は直径約5ミリで花びらは5枚、10本の雄しべが長くつき出る。多くのアジサイ類に見られる装飾花(そうしょくか:花序の周辺部につき、雄しべと雌しべが退化した花)はない。実は長さ約3ミリの卵形で、萼(がく:花の外側にある、葉の変化した器官)と雌しべが残る。
高さ|約1~1.5メートル
場所|奥高尾 -
山地の沢沿いの林のふちなど、湿ったところに生える落葉低木(らくようていぼく:1年のうちに葉を落とす時期のある、高さがおおむね3メートル以下の木)。枝分かれをして広がり、若枝には毛が密生する。葉は長さ約10~20センチの楕円形で、枝に向かい合ってつく。先はするどくとがり、ふちに細かい鋸歯(きょし:葉のふちにあるノコギリの歯のようなギザギザ)がある。両面に粗い毛が密生し、触るとざらざらしている。球形のつぼみがよく目立つことからその名が付けられた。開花の時期は8月から9月頃で、梅雨が明けてから咲く。枝先から出る花序(かじょ:花をつけた茎)は、はじめは総苞(そうほう:花の基部を包む、葉の変化したもの)に包まれた直径約3センチの球形をしており、やがて総苞が落ちて、たくさんの淡い青色をした小さな花と3~5枚の白い装飾花(そうしょくか:花序の周辺部につき、雄しべと雌しべが退化した花)が開く。実は長さ約3.5ミリの卵形で、先端に雌しべが残る。
高さ|約1~2メートル
場所|1~2号路、4~6号路、裏高尾、奥高尾、南高尾 -
日当たりのよい低い山に生える落葉高木(らくようこうぼく:1年のうちに葉を落とす時期のある、高さがおおむね5メートル以上の木)。野生サクラの代表格で、開花はソメイヨシノよりやや遅く、若葉が開くのと同時期の4月頃。樹皮は暗い褐色で横長の皮目(ひもく:木の表面にある、空気の流通口)が目立ち、幹は太さ60センチほどになる。庭木や街路樹として植えられ、木材は緻密(ちみつ)でよい香りがすることから家具や楽器材に使われる。葉は長い楕円形で、長さ約8~12センチ、幅約3~5センチ。先が長くとがり、ふちに細かく鋭い鋸歯(きょし:葉のふちにあるノコギリの歯のようなギザギザ)がある。秋には黄色やオレンジ色に色づく。花は前年にのびた枝の葉のわきに2~5個つく。直径約2.5~3.5センチで、花びらは5枚、色は白色または淡い紅色。実は直径8ミリほどの球形で、5月から6月頃に黒紫色に熟す。
高さ|約15~25メートル
場所|1号路、5号路、稲荷山、南高尾、奥高尾 -
山地の沢沿いの湿ったところに生える落葉低木(らくようていぼく:1年のうちに葉を落とす時期のある、高さがおおむね3メートル以下の木)。根もとから株立ち状に生え、枝が横にはり出す。幼木(ようぼく)や若枝の樹皮は明るい緑色でなめらかだが、成木(せいぼく)になると褐色の木質に変わる。幹は3~4年で枯れて、また新しいものと代替わりする。葉は長い楕円形で、長さ約4~8センチ、幅約2~4センチ。先は長くとがり、ふちにふぞろいの鋸歯(きょし:葉のふちにあるノコギリの歯のようなギザギザ) がある。うすくて、裏面の葉脈は出っ張り、その上に短い毛が生える。開花の時期は4月から5月頃で、新しい枝の先に鮮やかな黄色の花を1個ずつつける。花びらは5枚で、直径は約3~5センチ。実は長さ4ミリほどの楕円形で、1~5個が集まってつき、はじめは緑色で9月頃に茶褐色に熟す。
高さ|1~2メートル
場所|裏高尾、奥高尾 -
日当たりのよい沢沿いの山腹に生える落葉高木(らくようこうぼく:1年のうちに葉を落とす時期のある、高さがおおむね5メートル以上の木)。幹は太さ約30〜60センチになる。樹皮は暗い紫色をおびた褐色で、横長のはっきりとした皮目がある。枝は黒紫色で光沢がある。葉は楕円形で、長さ約8~11センチ。先は長くとがり、ふちにとげ状の鋸歯(きょし:葉のふちにあるノコギリの歯のようなギザギザ) がある。開花の時期は4月から5月頃で、葉が開いてから、新しい枝先に白い小さな花がたくさん集まったブラシのような穂をつける。ひとつの花は直径約6ミリで、花びらは5枚、雄しべが長くつき出る。実は直径約8ミリの卵形で、はじめは赤く、8月から9月頃に黒色に熟し、食べることができる。新潟県では、花のつぼみを塩漬けにしたものを「杏仁香(あんにんご)」と呼んで食用にしている。
高さ|約10~15メートル
場所|稲荷山、奥高尾、南高尾 -
山地の道端や林のふちに見られる落葉低木(らくようていぼく:1年のうちに葉を落とす時期のある、高さがおおむね3メートル以下の木)。名前にクサと付き背丈も低いが、れっきとした樹木でキイチゴ(木苺)の仲間。茎や枝、葉には軟毛が密生し、腺毛(せんもう:液体を分泌する毛のような突起)やとげがまばらに生える。葉は3~5枚ひと組で、枝に互い違いつく。小葉(しょうよう:複数の葉で構成される葉形のひとつひとつの葉のこと)は長さ約3~7センチの先がとがった広い楕円形で、ふちに細かい鋸歯(きょし:葉のふちにあるノコギリの歯のようなギザギザ)がある。秋に赤く色づく。開花の時期は4月から5月頃で短い枝先に直径約4センチの白い花が1~2個つく。花びらは5枚で上向きに開き、萼(がく:花の外側にある、葉の変化した器官)に短い毛が密生する。実は小さな粒の集まった直径約1センチの球状(集合果)で、5月下旬から6月頃に赤く熟す。食べると甘く、香りもよい。
高さ|約20~50センチ
場所|2号路、4号路、蛇滝、奥高尾 -
山野の日当たりのよい土手に生える落葉低木(らくようていぼく:1年のうちに葉を落とす時期のある、高さがおおむね3メートル以下の木)。幹の下部が横になってはっており、枝にとげが多い。葉は長さ約2〜5センチの倒卵形で、枝に互い違いにつく。先はまるみがあり、ふちに細かい鋸歯(きょし:葉のふちにあるノコギリの歯のようなギザギザ)がある。開花の時期は4月から5月頃で、同じ木に雄花と雌花がある。葉が開くより先に雄花と両性花(一つの花に雄しべと雌しべをもつ花)が混じる花が枝先に2~4個かたまって咲く。花の直径は約2.5センチで花びらは5枚。実は直径3センチ程度のゆがんだ球形で、8月から9月頃に黄色に熟す。見た目は小さなナシのようで、いい香りがするが、かたくて渋く、生食には向かない。シドミと呼ばれ、塩漬けにして食べたり、果実酒などに使われる。
高さ|約30センチ~1メートル
場所|奥高尾 -
山地から丘陵地の林のふちや道端などに普通に生える落葉低木(らくようていぼく:1年のうちに葉を落とす時期のある、高さがおおむね3メートル以下の木)。よく枝分かれをし、若い枝は赤褐色をおびて毛が生える。ウツギ(ユキノシタ科)に似た小さな白い花をくだけた米の小米(こごめ)に見立ててその名が付いた。葉は長さ約2~6センチ、幅約1.5~3.5センチの卵形だが、大きさや形はそれぞれの葉ごとに違いが見られる。短い葉柄(ようへい:葉をささえる柄)があり、枝に互い違いにつく。先は細くとがり、裏面の葉脈上にやわらかい毛が密生し、ふちは粗い切れ込みがある。開花の時期は5月頃で、その年にのびた枝先、または葉のわきから短い花序(かじょ:花をつけた茎)を出し、直径4ミリほどの花をたくさんつける。花びらはへらのような形で5枚あり、その下に白い卵形をした5枚の萼片(がくへん:花の外側にある、葉の変化した器官を萼といい、そのひとつひとつを萼片という)が開いて小さな花びらのように見える。花の内側は黄色い。花が終わると直径約2~3ミリの萼片に包まれた球形の実をつける。
高さ|約1~2メートル
場所|5号、稲荷山、奥高尾 -
山野の道端や土手など日当たりのよいところに生える落葉低木(らくようていぼく:1年のうちに葉を落とす時期のある、高さがおおむね3メートル以下の木)。茎がつる状に横に長くのび、ところどころで根を下ろす。6月の稲の苗代をつくるころに実が熟すことから「苗代苺(なわしろいちご)」の名が付いた。葉は3~5枚ひと組で枝に互い違いにつく。小葉(しょうよう:複数の葉で構成される葉形のひとつひとつの葉のこと)は長さ約2~4センチのまるみのあるひし形で、先はまるくふちに不規則な鋸歯(きょし:葉のふちにあるノコギリの歯のようなギザギザ)があり、裏面は白い綿毛が密生する。開花の時期は5月から6月頃で枝先や葉のわきから花序(かじょ:花をつけた茎)を出し直径約1~2センチの紅紫色の花を上向きにつける。花びらは5枚あるが、雄しべを包んだまま開かない。実は直径約1.5センチの集合果で、赤く熟し生食のほか果実酒やジャムなどにもよく利用される。
高さ|約20~30センチ
場所|裏高尾 -
山地の日当たりのよい裸地や伐採跡地などに見られる落葉低木(らくようていぼく:1年のうちに葉を落とす時期のある、高さがおおむね3メートル以下の木)。枝ぶりはよく茂り、茎の上部には鋭いとげが多い。実は甘くて食べられるが、種をかみつぶすと苦みがあることから「苦苺」の名が付けられた。葉は長さ約2~5センチの広い卵形で、枝に互い違いにつく。浅く3つに裂けることが多く、ふちに鋭く細かい鋸歯(きょし:葉のふちにあるノコギリの歯のようなギザギザ)があり、裏面は粉をふいたように白い。開花の時期は4月から5月頃で、前年にのびた枝先の葉のわきに、直径約2~2.5センチの白い花を1~2個上向きにつける。5枚の花びらが細いのが特徴で、しわが多く雄しべがたくさんある。萼片(がくへん:花の外側にある、葉の変化した器官を萼といい、そのひとつひとつを萼片という)も5枚あり、先がそり返る。実は直径約1センチの集合果で、6月から7月頃に赤く熟す。
高さ|約30~90センチ
場所|4~5号路、稲荷山、奥高尾